石破首相、コメ「減反」見直しに意欲 安定供給に向け閣僚会議設置へ

2025/06/02 19:15 

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 石破茂首相は2日の参院予算委員会で、コメの事実上の「減反」である生産調整の見直しに意欲を示した。コメの安定供給を巡り、自らを議長とする関係閣僚会議を週内に設置する考えも表明。会議ではコメの価格高騰の要因を検証し、生産調整の見直しを含めた対応策を議論する。

 国の「減反政策」は1970年に本格導入され、コメの価格維持のため生産量を各農家に割り当てた。2018年に廃止されたが、国は現在も補助金で飼料用米への転作を促すなどして主食用米の生産量を抑制しており、事実上の「減反」が続いている。需要の見通しに応じて生産を調整する仕組みで、予期せぬ消費の増加に対応しにくいとされる。

 首相は、自身が麻生太郎内閣の農相当時(09年)に「生産調整は見直すべきではないかという議論を提起した」と振り返った。「真面目に生産調整に取り組む地域は多い」と指摘した上で「(生産調整に従わない農家が)利益を得ることが本当に看過されていいのかという問題意識があった」と強調。「その思いは今も変わっていない」と述べた。

 さらに価格高騰の原因に関し「価格弾力性が小さい食料品、なかんずくコメがいつかはこういうことが起こりうる、どこかで限界を超えたのではないか、という検証は必要だ」と主張。「生産力に余裕を持たせることが必要だ」とコメの増産にも言及した。

 公明党の斉藤鉄夫代表も2日、視察先の東京都江戸川区内で記者団に「減反政策を見直すべきだ」と語った。関係閣僚会議について「農業政策全体でコメを増産する方向も、実質的な減反政策を見直すという方向も議論される」との見通しを示した。

 小泉進次郎農相は予算委で、コメ価格抑制に対する農林水産省の対応に関し「今まで見立てを誤ったことも事実だ」と言及した。「新米が出回れば大丈夫だと言ったが大丈夫ではなかった」と指摘。江藤拓前農相の下で実施した一般競争入札による備蓄米放出に触れ「国民が求めるスピード感と効果が表れなかった」と述べた。競争入札で仕入れた業者が売れずに買い戻しを求めた場合、応じる可能性も示唆した。【安部志帆子、野間口陽、田中裕之】

毎日新聞

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