女性皇族の夫と子の身分、皇室会議で決定する案 正副議長調整

2025/04/26 01:00 

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 安定的な皇位継承に向けた皇族数確保を巡る協議で、焦点となっている結婚した女性皇族の夫と子の身分について、皇室会議の決定に委ねる案が検討されていることが25日、分かった。与野党関係者が明らかにした。夫と子を皇族とするかどうかで自民党と立憲民主党の見解に隔たりがあるが、合意形成ができれば、天皇陛下の長女愛子さま(23)ら女性皇族が結婚後も皇室に残られる道が開ける。

 今国会中の意見集約を目指す額賀福志郎衆院議長が17日、次回の各党会派の全体会議で衆参正副議長案を示すと表明し、自民、立憲と非公式協議を続けていた。額賀氏は24日、衆院議長公邸で自民の麻生太郎最高顧問、立憲の野田佳彦代表らと会談した。この場で野田氏が、夫と子の身分は結婚時に皇室会議が決定するとの案を示し、麻生氏は持ち帰った。自民の対応が焦点となりそうだ。

 皇室典範は、女性は結婚により皇室を離れると定める。未婚の皇族6人のうち、秋篠宮さまの長男悠仁さま(18)を除く5人を女性が占め、皇族数減少は避けられない。昨年9月の衆参正副議長の中間報告は、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持することに、与野党とも「おおむね共通認識が得られた」と記した。

 ただ、女性皇族の夫と子を巡り、自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党などは皇族としない案を支持する。特に女性皇族の子が将来即位した場合、父方が天皇の血統につながらない「女系天皇」が誕生すると、自民保守派は警戒する。これに対し立憲は、家族一体で皇族とする案も検討するよう求めている。

 見解が交わらない中、折衷案として皇室会議に委ねる案が浮上した。意見集約できれば、秋の臨時国会以降で皇室典範改正などの法的措置を目指すことになる。

 皇室会議は、皇室の重要事項を審議し、皇族2人、首相、衆参正副議長、最高裁長官、宮内庁長官ら10人で構成する。皇位継承順位の変更、男性皇族の結婚、皇族の皇籍離脱などを扱い、最近では2017年に上皇さまの退位日を決定した。

 この他、衆参正副議長は、戦後に皇室を離れた旧宮家出身の男系男子を、養子縁組で皇族とする案の扱いも協議している。【皇室問題取材班】

毎日新聞

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