韓国大統領が抱える五つの刑事裁判 与党、「帳消し」目指す
韓国の与党「共に民主党」が、李在明(イ・ジェミョン)大統領が抱える刑事裁判を「帳消し」にするための動きを進めている。与党は、起訴を取り下げる権限を持つ特別検察官を任命するための法案を国会に提出した。野党は「独裁だ」と激しく反発し、大検察庁(最高検察庁に相当)からも司法の独立を損なうことへの懸念が出ている。
李氏は大統領就任前、背任や公職選挙法違反などで起訴され、五つの刑事裁判を抱える。だが大統領在職中は起訴されないとの憲法規定などによって、公判はいずれも延期されている。李氏が大統領を退任すれば、公判は再開される見通し。
法案は与党議員31人が4月30日に提出した。提案理由で、李氏が起訴された事件などが尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権下で「捏造(ねつぞう)され、不正だった疑いがある」と主張している。特別検察官は、不正だと判断した起訴を取り消すことができる。
与党は早ければ5月中に本会議で採決する方針。国会は与党が半数を大きく上回っており、可決の公算が大きい。
特別検察官は、与党や野党が推薦した候補の中から大統領が1人を選び、任命する。自らの起訴取り下げを決める権限がある特別検察官を李氏自身が選ぶことになるため、強い批判を招いている。
最大野党「国民の力」の朴成訓(パク・ソンフン)首席報道官は「ただ一人(李氏)を守るための法案であり、独裁だ」と反発。全国の検察官を指揮・監督する大検察庁も「裁判の独立性に不当な影響を及ぼす可能性がある」として、懸念を示した。
李氏の刑事裁判のうち、公選法違反事件では大法院(最高裁)が2025年5月、無罪とした2審判決を取り消して審理を有罪の趣旨でソウル高裁に差し戻している。【ソウル福岡静哉】
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