同志国首脳の「訪日ラッシュ」控える高市首相 懸念はイラン情勢
高市早苗首相は今月、訪日するカナダのカーニー首相との首脳会談を皮切りに、同じ考えや価値観を持つ「ライクマインデッド」の国々との連携を強化する同志国外交を展開する。軍事的・経済的威圧を強める中国を念頭に、日米同盟だけでなく、同志国との間で「自由で開かれたインド太平洋」強化と経済安全保障面での協力を多角的に確認する。
今月から4月初旬にかけて訪日を調整しているのはカーニー氏のほか、シンガポールのウォン首相、インドネシアのプラボウォ大統領、フランスのマクロン大統領ら。1月の韓国の李在明(イジェミョン)大統領、イタリアのメローニ首相、英国のスターマー首相と合わせ、主要な同志国首脳の「訪日ラッシュ」(外務省幹部)が続く。
インド、オーストラリアを歴訪しているカーニー氏は6日に訪日し、高市氏と会談する。カナダ首相の訪日は10年ぶりで、両国関係を現在の「戦略的パートナーシップ」から格上げする方向だ。カナダはニッケルなどレアアース(希土類)や液化天然ガス(LNG)などを産出する資源大国で、穀物など農業生産も盛んなため、経済、エネルギー、食料の各安全保障上の協力が期待できる。
カーニー氏は1月には中国を訪問し、対中関係を大幅に改善させた。スイスで同月開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)では中国の経済的威圧だけでなく、米国の関税措置なども念頭に、大国に対抗したミドルパワー(中堅国)の結集を訴えて国際的な注目を浴びた。日本は「米国抜きの結集はない」(政府関係者)との立場だが、従来の欧州だけでなく、アジアへの関与を強めるカナダと、インド太平洋地域での協力の強化を図る考えだ。
日本が唯一同盟を結ぶ米国のトランプ大統領は、中国との貿易交渉を重視し、米中が世界を主導する概念の「G2」に言及。トランプ氏が3月末に訪中するのを前に、高市氏は就任後初めて訪米し、19日に米ワシントンでトランプ氏と会談する。厳しいインド太平洋地域の安全保障環境を踏まえ、日米同盟の抑止力強化を確認する方向で、外務省幹部は「米中にはない中長期的な重要鉱物の供給網強じん化など質の高い連携を図る」と話す。
ただ、影を落とすのは米側とイランの交戦で急速に悪化する中東情勢だ。米国の軍事攻撃には国際法違反の声が国際社会から上がる。
日本はイランの核兵器開発を非難する一方、米国への評価は明確にしていないが、カーニー氏やマクロン氏は米国の対応に苦言を呈し、イスラム教徒が多いインドネシアでは反米感情も高まる。
高市氏とカーニー氏ら各国首脳との会談ではイランを含む中東情勢が重要議題になる見通し。日本との立場の違いが明確になる可能性もあり、日本側は事態沈静化に向けた協力などの一致点を模索する構えだ。【田所柳子】
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