トランプ氏に「希望打ち砕かれた」 米移住の道断たれたアフガン難民

2025/11/30 18:00 

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 米首都ワシントンの州兵2人がアフガニスタン難民に銃撃された事件を受け、米政府は28日、アフガン人への査証(ビザ)発給を全面停止すると発表した。

 ただ、かつてアフガンで米国に協力してきた人々の一部は、米国への移住を望みながら取り残されたままで、今回の決定に「絶望」している。

 「私たちの希望は打ち砕かれた」。米国への移住を申請しているパキスタン在住のアフガン人、メフムード・コチャイさんは深いため息をついた。

 コチャイさんは、米軍とイスラム主義組織タリバンが戦った2001年のアフガン戦争開始以降、約20年にわたり、米国などの資金で現地メディアを支援するNGOで働いてきた。

 だが21年8月、米軍が撤退し、タリバンが復権するとコチャイさんらは米国の指示に従い、退避を余儀なくされた。安値で家を売り払い、一家で隣国パキスタンに逃れた。

 米国のビザの承認を待つ間に4年の月日が流れ、貯金は底を突いた。一方、パキスタン政府は23年以降、アフガン難民らに帰還を強いる政策を進めている。

 コチャイさんは「米国の元協力者は、どんな状況でもアフガンには帰国できない。(タリバンに攻撃されて)確実に命を落とすからだ」と訴える。

 コチャイさんは、米ワシントンの銃撃事件について、米国の訓練を受けた人物による「痛ましい事件」とした上で「(アフガン人)全体が罰せられるべきではない」と話した。

 米国の移民政策を巡っては、トランプ大統領の厳格な姿勢が波紋を広げてきた。

 6月には、アフガンやミャンマーなど12カ国からの入国を原則禁止する措置を発表。今回の事件を受け、米政府は「第三世界」からの移民受け入れ停止や、永住権取得者の再調査なども実施するとしている。

 21年以降、「特別移民ビザ」でアフガンから米国に入国し、永住権を取得した男性は「多くの政治家や人権団体が今回の決定を受け入れず、措置は恒久的なものにはならないだろう」との見方を示す。

 一方で、国外にいる多くのアフガン難民が、家族を呼び寄せられないなど不安定な状況に置かれていると指摘。米国内のコミュニティーでも動揺が広がっており、「トランプ政権が決定を見直すことを願っている」と語った。【ニューデリー松本紫帆】

毎日新聞

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