トランプ氏、対中関税引き下げの意向 フェンタニル規制強化が条件

2025/10/29 17:40 

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 トランプ米大統領は29日、中国が合成麻薬フェンタニルの米国への流入で対応を強化することを条件に、対中追加関税を引き下げる意向を示した。日本から韓国に向かう大統領専用機内で記者団に語った。トランプ氏は30日に訪問先の韓国で中国の習近平国家主席と会談し、貿易措置を巡る詰めの協議を行う。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは28日、米国が中国のフェンタニルの輸出規制強化措置と引き換えに、中国に対する制裁関税を最大10%引き下げる可能性があると報道した。トランプ氏は29日、「中国がフェンタニル問題の解決に協力できると信じており、関税引き下げを見込んでいる」と述べた。

 米国内で乱用が社会問題化しているフェンタニルに関する中国側の輸出対策が不十分との理由で、トランプ政権は2月に10%の追加関税を発動し、3月に20%に引き上げていた。「相互関税」発動などにより、対中追加関税は足元で54%となっているが、うち24%は11月10日までの期限で一時停止している。

 1月の第2次トランプ政権発足後、米中首脳の対面会談は初めてとなる。これに先立ち、ベッセント米財務長官は今月25、26日の2日間、中国の何立峰副首相らと貿易措置を巡り協議。その後、米メディアに対し、中国がレアアース(希土類)の輸出規制強化措置を1年先送りするとの見通しを示した。これを受け、米国は中国への新たな100%の追加関税発動を見送る方向だと言及しており、両首脳間で最終合意できるかが注目される。

 このほか、首脳会談ではウクライナ情勢をはじめとする外交・安全保障もテーマになりそうだ。【ワシントン浅川大樹、慶州・松井聡】

毎日新聞

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