露で相次ぐ「北朝鮮推し」の動き 戦争絵画の美術展、記念像の建立も

2025/10/12 07:22 

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 ロシアで、軍事面を中心とした北朝鮮との緊密な関係をアピールする動きが相次いでいる。戦争絵画を多数含む大規模な北朝鮮美術展がモスクワで開催されたほか、第二次大戦当時の朝鮮人パルチザンの記念像も新たに建立された。

 北朝鮮は、ウクライナ侵攻を続けるロシアを派兵や弾薬供与などで強固に支援している。プーチン政権としては、北朝鮮に花を持たせつつ、露朝関係の質的な変化を自国民に周知する狙いもあるとみられる。

 美術展は「朝鮮民主主義人民共和国芸術展 偉大なる人民の国」とのタイトルの下、モスクワ中心部の全ロシア装飾芸術美術館で9月上旬~10月上旬に開かれた。絵画約100点に加え、陶磁器などもあり、ロシアでは前例のない大規模な展示となった。

 「クルスク州解放のために」「かけがえのない命をささげて」――。目立つ場所には、こうした題の戦争絵画が並べられていた。ウクライナ軍による昨年8月からの露西部への越境攻撃に対し、北朝鮮軍の派遣部隊が露軍と共に戦ったことを強調するものだ。

 会場の感想ノートには「兄弟民族の支援に感謝します」といった書き込みがあった。ただ、劇画調のトーンもあってか「クルスク州には見えない」との率直な感想も聞かれた。

 軍事パレードや最新兵器、朝鮮戦争などを描いた軍事関連の絵画以外には、幸福そうな農漁村や大都市の生活を題材としたプロパガンダ色の強い作品がそろえられていた。

 係員によると、幅広い世代が訪れ、特に螺鈿(らでん)細工や刺しゅうによる精巧な作品に感嘆する人が多かったという。会場では北朝鮮の政府関係者とみられる数人の男性が、観覧者を見守っていた。

 一方、ロシアのベロウソフ、北朝鮮の努光鉄(ノ・グァンチョル)両国防相は今月1日、モスクワ近郊にある露軍のテーマパーク「愛国者公園」で、朝鮮人パルチザンの群像を除幕した。「戦勝80年」を記念し、ソ連軍に協力した人々にささげるものだとしている。

 政府機関紙のロシア新聞によると、ベロウソフ氏は「この記念碑は揺るぎない兄弟愛の象徴だ」とたたえた。昨年来の北朝鮮軍のロシア派兵にも触れ、「クルスク州解放への参加は両国間の包括的な戦略的協力を証明している」と述べた。

毎日新聞

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