カーク氏追悼式に幹部続々参列 中間選挙見据えたトランプ政権

2025/09/22 16:57 

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 今月10日に米西部ユタ州の大学で射殺された保守活動家、チャーリー・カーク氏(31)の追悼式典が21日、西部アリゾナ州グレンデールであり、トランプ米大統領ら政権幹部が参列した。カーク氏は保守系団体「ターニング・ポイントUSA」の共同設立者で、2024年大統領選で若者世代の集票に大きな貢献を果たしたとされる。式典は選挙集会さながらの熱気に包まれ、トランプ氏は来年11月の中間選挙をにらみ、若者の支持のつなぎ留めを図った。

 式典は団体の主催で屋内スタジアムで開かれた。ロイター通信によると、6万人以上が参加したという。バンス副大統領、ルビオ国務長官、ヘグセス国防長官、ワイルズ大統領首席補佐官ら政権高官たちが参列し、カーク氏を称賛した。カーク氏の妻エリカ氏が「夫は彼の命を奪った者を含めて若い人たちを救いたかった。私は(容疑者を)許す」などと語ると会場は悲しみに覆われた。

 式典の最後にトランプ氏が登壇すると雰囲気は一変した。トランプ氏は自身の選挙集会の定番曲「ゴッド・ブレス・ザ・USA」をカントリー歌手が歌う中で登場。カーク氏を「米国の自由の殉教者だ」などとたたえた。州兵を民主党市長の都市に派遣する犯罪対策や高関税政策などにカーク氏が支持や理解を示していたと述べるなど普段の演説と同様に政権の政策をアピールした。

 また、具体的な根拠を示さぬまま「暴力の大半は左派から来ている」とする持論を展開。「チャーリーは私たちの信念を語ったために殺された。銃弾は(保守派の)全員に向けられている」との危機感を強調し、自身が24年7月の選挙集会で暗殺未遂に遭った際に叫んだ「ファイト」を3度繰り返して闘志をむき出しにした。

 トランプ氏や政権幹部らが追悼式典に出席した背景には、若い世代を含む保守層の結集を図る狙いがありそうだ。AP通信によると、24年大統領選でトランプ氏に投票した若者世代の割合は前回の36%から47%へと大幅に増えたとされ、トランプ氏らは全米の高校や大学に団体の支部を広げたカーク氏の功績を評価している。

 26年11月の中間選挙で与党共和党が上下両院で多数派を維持する上でも、政権は若者票の行方を重視している。バンス氏は21日の式典で「政権全体がここに来ているのは私たちが友人としてチャーリーを愛していることだけが理由ではない。彼なしに私たちがいなかったことを知っているからだ」と強調。「チャーリーのために米国を偉大な国へと再建しよう」などと呼びかけた。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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