国連創設80年 グテレス氏「国際協力の土台刷新を」記念会合で訴え

2025/09/22 22:40 

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 各国の首脳が集結する国連総会のハイレベルウイークは22日に米ニューヨークで開幕し、国連創設80年の記念会合が開かれた。グテレス事務総長は冒頭の演説で、多極化に向かう世界には「強固な国際機関」の存在が必要だと強調。世界の人びとに成果を届けられる「国際協力の土台の刷新」が必要だと訴えた。

 国連は第二次世界大戦を防げなかった反省を踏まえ、「国際の平和と安全」の維持を主要な目的に掲げて創設された。加盟国は当初の51カ国から193カ国に増え、「単独の国では解決できない課題に取り組む場」(グテレス氏)として役割も組織も拡大させてきた。

 グテレス氏は「国連が人類にもたらした偉大な勝利」として、天然痘の根絶、深刻だったオゾン層破壊の改善に寄与した「モントリオール議定書」に並び、「第三次世界大戦の阻止」を挙げた。

 一方、平和と安全に「主要な責任」を負う安全保障理事会の常任理事国ロシアによるウクライナへの侵略戦争は、3年半が経過しても収束がみえない。イスラエル軍による攻撃で未曽有の人道危機が続くパレスチナ自治区ガザ地区では、支援物資を十分に届けることもできない。

 グテレス氏は「国連の理念はかつてない攻撃にさらされている。この瞬間にも、民間人が標的とされ、国際法が踏みにじられている」と指摘。気候変動や宇宙での軍備競争など新たな課題を前に「国連を守るだけではなく、強くすることが重要だ」と述べ、「前に進む唯一の道は、共にあることだ」と分断の克服を訴えた。

 国連の設立条約である国連憲章は1945年6月26日、米サンフランシスコで連合国の代表によって署名され、同じ年の10月24日に国連は正式に発足した。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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