中露が停戦決議案を用意 イラン攻撃で米を揺さぶり 国連安保理

2025/06/23 09:48 

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 米国によるイラン攻撃を受け、国連安全保障理事会は22日午後(日本時間23日未明)に緊急会合を開いた。イランは「米国は外交を破壊した」と訴え、報復を示唆して米国・イスラエルとの対決姿勢を強めた。理事国の多くは双方に最大限の自制と外交的解決を促し、イランの友好国である中国とロシアは即時の停戦を求める決議案を準備して、早期の採決を求めて米国を揺さぶる。

 米国のシェイ国連臨時代理大使は、米軍によるイランへの攻撃について「世界最大のテロ支援国家がもたらす核の脅威の阻止が目的」だと主張した。イランが中東の米軍施設などを狙って反撃した場合は「破壊的な報復に直面する」と警告した。

 これに対し、当事国として参加したイランのイラバニ国連大使は米国の攻撃を「国際法違反」だと非難。「米国とイスラエルの侵略に対し、イランは完全かつ正当な自衛の権利を有する」と報復の可能性に触れ、「対応の時期、種類、規模については軍が決定する」と述べた。

 中国とロシアは米国の行動を強く非難し、非常任理事国のパキスタンを巻き込み、停戦や民間人の保護を求める決議案を用意している。決議案を早期に採決に持ち込み、米国に拒否権を行使させたり西側の投票行動の不一致を招いたりすることで、米国の強硬策への波紋を広げる狙いもある。

 米国の同盟国はイランの核開発の脅威に批判の目を向ける一方、米国の参戦には困惑もにじませた。会合でフランスのボナフォン国連大使は米軍によるイランの核施設の攻撃に「懸念」を示した。他の欧州の理事国や韓国は、今回の米国の行動に対する直接的な態度の表明を避けた。仏独と共にイランに外交解決を呼びかける英国のウッドワード国連大使は、「軍事行動のみではイランの核開発問題の永続的な解決にはつながらない」と述べた。

 国連のグテレス事務総長は、米国の参戦は「かねて混乱していた地域にとって極めて危険な転機となった」と指摘。双方に外交路線への復帰を求めるとともに、イランにはIAEAの査察への完全な協力を要求した。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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