イラン大統領「報復厳しいものに」 イスラエルの攻撃継続をけん制

2025/06/16 08:18 

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 イスラエル軍は15日、イランの首都テヘランなどで激しい空爆を続け、複数の政府施設が被害を受けた。イラン各地でミサイル関連施設などを破壊する一方、政府中枢への攻撃も激化させているとみられる。イスラエルがイランの体制転換を視野に入れている可能性もあり、紛争は拡大の一途をたどっている。

 イスラエル軍は15日、イラン国防軍需省や、核開発を担うとされる防衛革新研究機構(SPND)の本部を攻撃したと発表した。イランメディアなどによると、外務省の建物も被害を受け、複数の職員が負傷。司法省近くでも黒煙が確認された。

 イスラエル軍は15日、イラン国民に対して軍事施設周辺に近づかないよう呼びかけ、異例の退避勧告を出した。今後も首都などへの攻撃を強めるとみられる。イラン当局は、テヘランの地下鉄駅やモスク(イスラム教礼拝堂)などを避難場所として開放すると発表した。

 また、ロイター通信などは15日、イスラエルがイラン最高指導者ハメネイ師を殺害しようとしたが、トランプ米大統領が認めなかったと報じた。イスラエルは攻撃する過程でハメネイ師殺害の機会を得たが、米国側から「トランプ氏が反対している」と伝えられたという。

 イスラエルのネタニヤフ首相は15日、米FOXニュースのインタビューでこの報道を否定する一方、軍事作戦の結果として体制転換が「起こりうる」と語った。

 一方、イランも15日夜、イスラエル北部ハイファなどに再びミサイル攻撃を行った。イスラエルメディアによると、発射されたミサイルは約30発に上り、少なくとも7人が負傷した。

 イランのペゼシュキアン大統領は15日、イスラエルの攻撃が続けば、報復は「より決定的で厳しいものになる」と強調した。イランが最新鋭のミサイルを依然として温存しているとの報道もある。

 イスラエルの民放テレビ「チャンネル12」によると、イランとの衝突前、治安当局はイスラエル側で800人から4000人の死者が出ると予測していた。15日時点の死者数は計14人にとどまっているが、今後イランが人口密集地への攻撃を本格化させる可能性がある。カッツ国防相は13日に発令した非常事態宣言を今月30日まで延長することを承認し、国民に警戒を呼びかけている。【カイロ金子淳、エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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