トランプ氏「失望」、マスク氏「うそつき」 蜜月が一転、非難の応酬

2025/06/06 10:43 

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 トランプ米大統領は5日、実業家のイーロン・マスク氏が大型減税を含む法案への批判を強めているのは「電気自動車(EV)購入者への優遇措置の廃止が盛り込まれているからだ」との見方を示し、「イーロンに失望した」と述べた。ホワイトハウスで記者団に語った。マスク氏がX(ツイッター)への投稿で猛反発するなど非難の応酬を繰り広げる事態となり、蜜月だった2人の関係の崩壊を露呈した。

 トランプ氏は、マスク氏が法案を熟知した上で、5月に政権を離脱するまでは特に問題視していなかったと主張。「彼はここ(ホワイトハウス)が恋しいのだろう。これまでも政権を去って翌朝に目覚めると世界が変わり、敵対的になる者はいた。トランプ錯乱症候群のようなものだ」と持論を展開し、「イーロンは私を個人的に悪く言ったことはないが失望した」と語った。

 するとマスク氏は直後からXで「うそだ。事前に法案を示されたことは一度もなかった」などと反論。EVの購入補助策の削減に同意しているとしたほか、「トランプは私がいなければ選挙で負けていた」などと投稿してヒートアップさせた。

 トランプ氏も自身のソーシャルメディアで「私が彼に(政権を)去るように言った。彼は気が狂ってしまった」などと怒りをあらわにし、2人の決裂が決定的になった。

 マスク氏が反対している法案は5月に下院で可決され、上院に送付された。大型減税の恒久化などと引き換えにバイデン前政権で導入されたEVの購入補助金の打ち切りなどが盛り込まれている。

 トランプ政権の目玉法案だが、財政赤字の拡大に対する懸念が指摘されている。今年1月の政権発足後、政府効率化省(DOGE)を事実上率いて歳出削減に取り組んできたマスク氏は、法案には無駄な歳出が多数含まれていると指摘。5月に政権を離脱した直後から法案は「醜悪だ」などと酷評している。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

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