苦戦の要因は… 複雑化する中国事業、日系企業など1434社の本音
在中国の日本企業でつくる中国日本商会は22日、中国の景況や事業環境認識に関する会員企業のアンケート結果を発表した。デフレ圧力の高まりを受けた販売価格の低下に伴う業況の悪化や邦人の安全確保への懸念など厳しい認識が寄せられた。一方、中国の技術革新に対する関心は高く、中国事業を取り巻く複雑な現状もうかがえた。
アンケートは7月14~31日に実施。景況や事業環境について在中国日本企業など1434社から回答を得た。
売り上げは(やや)上昇が28%(前回比6ポイント減)、(やや)低下が48%(同12ポイント増)と悪化。営業利益も悪化傾向となった。業況については、(やや)改善は26%(同1ポイント減)の一方で(やや)悪化が40%(同10ポイント増)に達し、日本企業の苦戦が鮮明となっている。
大きな要因は、価格競争の激化や節約志向の定着によるデフレ圧力の高まりだ。事業経営における課題への回答では「販売価格の下落による影響」が60%に達し、これまでの調査でトップだった「人件費の上昇」を上回った。
一方で「国際情勢の影響」を課題にあげたのは45%(前回比1ポイント減)と横ばいだった。トランプ米政権との対立が懸念される中国経済だが「米中の関税戦争の影響を直接的に受ける日本企業は限定的」(商会幹部)だ。ただ、レアアース(希土類)の輸出規制については懸念の声が寄せられるなど、業種によっては米中対立の余波も受けている。
今年は「抗日戦争勝利80年」の節目で反日感情の高まりが懸念されている。江蘇省蘇州市では7月、日本人女性が襲われて負傷する事件が起こった。また、邦人男性がスパイ罪で有罪判決を受けるなど不透明な司法運用についても企業の不安は拭い切れていない。
記述回答では、「中国での生活に安心感が得られず、駐在員や出張者の確保が難しくなっている」との要望が寄せられるなど、邦人の安全確保に対する懸念の声も寄せられた。
記者会見した日本商会の本間哲朗会長(パナソニックホールディングス副社長)は「在中日本企業にとって社員とその家族の安全安心の確保は中国でビジネスを行う上での基本中の基本だ」と述べ、中国政府に適切な対応を強く求めていくと強調した。
一方で、中国市場は巨大で、人工知能(AI)などの技術革新も著しい。アンケートでは25年の投資額について「(大幅に)増加させる」は16%で前回と同じ、同額は40%(同2ポイント減)、「投資額を減らす(今年はしない)」が43%(同2ポイント増)となり、前回から大きな変化はなかった。
投資判断については「中長期的な成長を意図して、既存事業とシナジーのある分野へ投資する」「スタートアップに投資する」との回答がある一方で、価格競争の激化や先行きの不透明さを理由に積極的な投資を控える企業もあるなど、受け止めが分かれている。
日本商会の本間会長は「業種や地域のばらつきが大きく複雑になっている。経済団体の視察も増えており、中国の技術革新への注目度は上がっている。成長する分野を見極めて、そこに照準を合わせていくことが必要だ」と述べた。【北京・松倉佑輔】
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