メタン合成の次世代技術 大阪ガスの試験施設完成 高効率で低コスト

2025/06/04 17:36 

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 大阪ガスは水素と二酸化炭素(CO2)から都市ガスの主成分であるメタンを合成する技術の試験施設を大阪市此花区で完成させた。「SOECメタネーション」と呼ばれる次世代技術を取り入れた施設で、従来より高い効率と低コストでメタンを合成できるという。

 合成メタンはCO2排出が実質ゼロで、既存の都市ガス設備を使用できる長所がある。SOECメタネーションでは、原料の水素を生み出すための水の電気分解から、水素とCO2の合成までの工程を一貫して行うことができる。メタン合成時の排熱を再利用することが可能で、従来技術のサバティエ反応メタネーションに比べて、同じ消費電力量で多くの合成メタンを作ることができる。

 試験施設では一般家庭200戸分の合成メタンを製造可能で、これまでの実験設備の100倍の規模になった。今後は新装置の導入や試験施設の大型化などを経て、30年度までの技術確立を目指す。

 大ガスでは2030年に従来技術による合成メタンの都市ガス導入を目標に掲げている。SOECメタネーションは合成メタンの製造コストの削減に貢献できる可能性があり、普及の鍵を握っている。3日の完成式典に出席した大ガスの藤原正隆社長は「新しいメタネーションの一歩を切り開いた。普及を加速させていきたい」と話した。【妹尾直道】

毎日新聞

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