万博の大屋根リング 200メートルを「原形」保存検討 大阪府と市

2025/06/02 20:30 

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 大阪・関西万博の大屋根「リング」(1周約2キロ)の閉幕後の活用について、大阪府と大阪市が、北東部分の約200メートルを原形に近い形で保存する案を軸に検討していることが、関係者への取材で明らかになった。これまでは屋根を取り外してモニュメントとして保存する案が出ていたが、府と市は人が上がれるプランを提示する。跡地を開発する民間事業者が採用しない場合に備え、南側の約600メートルのうち約350メートルを解体せず、一時的に保存する案も検討している。

 府と市は3日、国や経済界の代表者らが集まる会合で提案し、合意が得られれば23日に開催予定の日本国際博覧会協会(万博協会)の理事会で正式決定する。

 リングは世界最大の木造建築物で、当初は閉幕後にすべてを解体する予定だった。府と市は会場跡地の開発について民間事業者の提案を求めた上で、2025年4月にまちづくりの指針となる「マスタープラン」を策定した。リングを「万博レガシー(遺産)」と位置付けて、北東の約200メートルをモニュメントとして保存する案と、ベンチなどの部材に再利用する案を示した。これを基に25年度内に事業者の募集を始める予定だった。

 リングの人気が高いことなどを背景に、万博協会副会長を務める吉村洋文・大阪府知事が5月、「今の形で残さないと意味がない」と主張し、南側約600メートルの一部を現状に近い形で残す案を提案。これを受けて、関係者間で協議を進めていた。

 府と市は今後、民間事業者を募集する際、リングについて、原形に近い形での活用案も求める方針。まずは北東の約200メートルで実現を目指すが、それに沿った提案が出なかった場合は、南側の約350メートルでの整備を検討するという。

 ある財界関係者は、財源があいまいな点に懸念を示しており「当てにならない話をされても困る」と述べた。【鈴木拓也、新宮達】

毎日新聞

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