英シェル、英BPの買収検討か 実現なら業界最大規模 米報道

2025/05/04 20:06 

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 米ブルームバーグ通信は3日、英石油大手シェルが、英同業BPの買収を検討していると報じた。BPの時価総額は約560億ポンド(約10兆円)で、実現すれば石油業界で最大規模の買収になるという。

 BPの株価低迷が背景にある。トランプ米政権が高関税政策を打ち出して以降、景気停滞懸念から原油価格は下落傾向にあり、大規模買収の引き金となる可能性が浮上した。

 BPは過去の脱炭素戦略が振るわず、業績が低迷していた。2月に石油・ガス事業重視へ方針転換したが、今度は原油価格の下落に悩まされている。時価総額はこの1年で3割下落した。シェルとの時価総額の差は倍以上に広がり、市場ではシェルによるBP買収が取り沙汰されていた。

 ただ、英紙フィナンシャル・タイムズは2日、ワエル・サワン最高経営責任者(CEO)による「(BP買収よりも)現時点では、自社株買いが正しい選択肢だ」との発言を報じた。

 ブルームバーグも3日の報道で、買収による相乗効果などの検討が数週間前から外部アドバイザーを入れて行われているとする一方で、あくまで初期段階にとどまると指摘。BPの株価がさらに下落するかどうかが買収判断の可否を握ると報じている。

 シェルの広報担当者はブルームバーグに対し、「我々は業績や業務の簡素化に集中することで価値向上に努めている」とコメントした。BPはコメントを拒否した。

 シェルとBPはともに1970年代まで世界の石油生産をほぼ支配して「セブンシスターズ」と呼ばれた欧米大手7社に数えられた。その後再編が進み、現在は5大メジャーの一角として業界を主導している。【ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

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