高木美帆が引退会見 「何者でもない時間ほしい」 今後は未定
オリンピックで日本女子最多となる10個のメダルを獲得したスピードスケートの高木美帆選手(31)=TOKIOインカラミ=が6日、東京都内で引退記者会見を開いた。白のパンツスーツ姿で登壇し、「自分が求めたアスリート像を(今後も)全うするのは難しいと感じた」と引退を決めた理由を説明。今後については未定で「何者でもない時間もほしい」としつつ、脳と体の関係について学ぶ意欲を示した。
約2時間に及んだ会見。高木選手は終始、柔らかい表情で、言葉を選んでゆっくりと思いを語った。
引退を意識し始めたのは2年ほど前だったという。かつては理想の滑りをするために「もっとやればいい」と追い込んで練習に臨んでいたが、「これ以上いくと壊れてしまう。今できることを見直して最善を尽くす方が(いい)」と思うようになった。
そして今年1月。ワールドカップ(W杯)の今季最終戦のため向かったドイツ・インツェルの坂を歩いている時にふと、考えたという。「昔の私だったらこういう考え方をしていたかな?」。自身が求めるアスリート像を体現できていないと感じ、「それを受け入れている自分がいたので、アスリートを辞める時なのかなって思考に至った」という。当時の思いを「決断というより、受け入れた感じ」と表現した。
3月に現役最後の大会を終え約1カ月が経過したが、「寂しいと思う気持ちとか、ぽっかり穴が開いてしまったというようなことは感じていない」。食事やトレーニングなど縛られるものがなくなって「時間に追われることがなくなった」と笑い、「せっかく作った体形を崩したくない」と、起床後のストレッチを習慣にするなど、健康的な生活を心がけているという。
今後の競技との関わりについて問われると、「誰かと競い合ったり、勝負の世界に身を置いたりすることに対して、少し心がネガティブな反応を示している」と率直に語った。「すごく幸せなスケート人生を歩めた」と振り返り、現状は指導者などを目指す予定はないとした。
今後については「本当に全く未定」と強調。脳と体の関係など「いくつか興味を持っているものがある」とし、大学院などで学ぶことは視野に入れているという。「これからは自分の帆を目いっぱい広げて、いろいろなことを経験しながら、思うままに進んでいきたい」と話した。
会見の冒頭には、2022年北京冬季五輪スノーボード男子ハーフパイプ(HP)で金メダルに輝いた平野歩夢選手(27)=同=がサプライズゲストとして登場。花束を手渡された高木選手は「頭が真っ白。同じ所属先で戦えることは誇りで、平野選手が文字通り死ぬ気で競技に挑まれている姿を見て、私もこのままじゃいけないなと何度も思った」と感謝を述べる場面もあった。【森野俊】
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