<もっと社会人野球>「チームにとってマイナスではない」 社会人野球界に広がる育休取得
各企業で育休を取得する男性が増えてきているなかで、社会人野球界でも取得する選手が出てきている。会社の育休制度をシーズンオフに活用してグラウンドを離れ、積極的に子育てに参加する動きが少しずつ広がってきた。
都市対抗大会出場26回の東京ガスは、昨年11月から12月にかけて主将の冨岡泰宏選手(28)、エースの臼井浩(いさむ)投手(31)、竹村光司選手(30)が現役選手では初の育休を取得した。
東京ガスは昨季、松田孝仁監督(45)が「社員の権利」として育休取得の希望を初めて募ったという。
12月中は終日勤務で全体練習がない時期。大会や遠征が多くなるシーズン中に比べて育休は取得しやすい。冨岡選手と臼井投手は「今までは育休は取れるものだと思っていなかった」と話すが、松田監督に背中を押される形で取得を決断した。
明治安田も数年前から会社の奨励もあり、全体練習のない期間に育休を取得する選手が出てきている。昨季オフには永広知紀選手(27)と本郷佑弥マネジャー(28)が約3週間の育休を取った。4歳と0歳の子どもがいる本郷マネジャーは「いい時間を過ごせました」と話す。
社会人野球は、レギュラー争いなど競争が激しい世界だけにチームを長期間離れることをためらう選手も少なくない。シーズンオフも翌シーズンに向けた強化期間に充てたり、シーズン中になかなか行けない所属部署に出社したりする貴重な時期でもあり、取得は簡単ではない。
東京ガスの松田監督は「選手は現役の時に取得できるなんて考えたこともないっていう感じではないか。自分も現役の時にはそんな発想にはならなかった」と振り返る。
現在は、育休の経験は時間の使い方など学びとなる点は多いと感じており、「時間管理は仕事に戻ってもやらなければいけないし、そういう意識が芽生えるだけでもいいことではないか。(チームにとって)マイナスになることはないと思っている」と話す。
冨岡選手も「人それぞれの考え方があるけど、一度経験することが大切だと思う」と語る。
米大リーグでは、最長3日間チームを離れることが認められる産休制度「父親リスト」を大谷翔平選手(ドジャース)が昨年に利用したことで注目された。
プロ野球では今季から、子どもの誕生や冠婚葬祭などで出場選手登録を外れた際に短期間で復帰できる「慶弔休暇特例」が導入される。
他競技を見ると、トヨタ自動車の陸上長距離部に所属する西山雄介選手が昨春に育休を取得。トヨタ自動車は西山選手をモデルケースに、練習継続に配慮したアスリート専用の育休制度を導入した。
社会人野球界でも今後どこまで広がるのか注目される。【円谷美晶】
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