南アフリカ流の勝負手はまる 聖光学院、花園初勝利 高校ラグビー
◇全国高校ラグビー大会1回戦(28日・東大阪市花園ラグビー場)
◇○聖光学院(福島)18―17近大和歌山●
花園出場はまだ3回目。前回大会は100点ゲームで大敗する悔しさを味わった。
学校の名前はいまだに野球部のイメージが強い。福島から旋風を起こそうと乗り込んだ聖光学院は、ここぞの場面で繰り出す勝負手を温めていた。
1点差に迫られて、我慢の守りを続けていた後半25分、ようやく「ここぞ」の時が来た。
相手陣深くでの連続攻撃中、ラインアウトのようにFW陣が1人の選手をリフトアップ。その選手に2年生SH・遠藤慧史主将がパスし、モールを作るように見せかけて相手の注意が集中したところで、回り込んだ遠藤がリターンパスを受けて右へ展開。最後は右サイドを突破したWTB井出聖弥が強引にトライゾーンにねじ込んだ。
今夏、南アフリカ代表がイタリア代表戦で見せた「リフティングモール」を応用した、聖光学院の強みの展開力を最大限に生かすための特別なプレー。南アフリカの動画を参考に練習を重ねてきた。ロックのアニセ・マウシオは「一番トライが必要な場面で出す計画だった。完璧でした」と胸を張った。
学校は数年前からラグビー部の強化に着手した。元日本代表の宇佐美和彦監督がコーチを経て今季からチームを率いる。見ていて楽しい「展開ラグビー」を旗印に掲げ、選手には日常生活から洞察力を磨いてグラウンドの小さな変化に気づけるような心構えを求めてきた。
選手28人中3年生は1人だけの若いチーム。上下関係は緩く、思ったことを言い合える環境で次々と攻撃の発想も飛び出す。会心のサインプレーも、自由闊達(かったつ)な雰囲気の中で生まれた。
試合終了間際、近大和歌山にトライを奪われて再び1点差に迫られた。しかし、決まれば逆転のゴールキックは外れ、直後に試合終了の笛が響いた。
キックを直視できなかったという宇佐美監督は「勝ったというより、勝ちをいただいたという気持ち」。花園初勝利の重みをしみじみとかみ締めた。【角田直哉】
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