「幻の決勝」OBも胸熱く 茗渓学園、反撃及ばず 高校ラグビー
第105回全国高校ラグビー大会(毎日新聞社など主催)は27日、東大阪市の花園ラグビー場で開幕した。茨城県代表の茗渓学園は1回戦で、前回大会ベスト4の常翔学園(大阪第2)と対戦。後半15分以降に3トライを奪うなど追い上げたものの、29―41で敗れた。目標の日本一には届かなかったが、最後まで逆転を信じて走り続けた選手たちにスタンドからは大きな拍手が送られた。【井手一樹】
1回戦屈指の好カードを見ようと、スタンドは超満員となった。
先に攻め込んだのは茗渓学園。相手のミスにつけ込み、パスをつないでゴールライン目前まで迫ったが、相手の防御を破れず先制点を奪えなかった。
先に2本のトライを奪われたが、花園に向けて磨いてきた展開力で反撃開始。前半15分、右や左へパスをつないで敵陣深くに攻め込んだ。ラックから今度は左へ展開し、最後はNO8宮内伸一朗(2年)がトライ。SHの堺太郎(3年)は「ボールを持ち続けて攻撃して点を取る、自分たちのラグビーを出せた」と胸を張った。
5―17で前半を終えても、「この点差ならひっくり返せる」と次々に声が飛び交った。士気を高めて後半を迎えた。
後半18分、22メートルライン付近でパスを受けたFB奥田創(2年)が相手を置き去りにしてトライ。4分後にも再び奥田が決め、反撃ムードは高まった。
終了間際にも得点を奪い、最後まで食らいついた。悔しさが募る一方で、攻撃が通用したという手応えもあった。フッカーの山田朔太主将(3年)は「後輩も同期もついて来て、支えてくれた」。引き締まった表情で感謝の言葉を残し、花園を後にした。
◇当時のメンバー、交流続く
1989年1月7日、茗渓学園と大阪工大高(現常翔学園)は第68回大会の決勝で対戦するはずだったが、昭和天皇が崩御し中止に。両校優勝となり、ラグビーファンの間で「幻の決勝戦」と言われている。
「相手は横綱。茨城の田舎チームが、どれだけ通用するか楽しみだった」。茗渓学園で当時ロックとFWリーダーを担った中川紀彰さん(54)は懐かしそうに振り返った。
茗渓学園にとっては、4回目の花園出場で初めてたどり着いた決勝だった。日本一を懸けた一戦に向け分析を進めていた試合当日、中止の知らせが届いた。「自分たちは準優勝でも胸を張れる。相手は複雑な気持ちだったんじゃないかな」と思いを巡らせる。
2015年、当時のメンバーが集まり花園ラグビー場で対戦。これを機に交流サイト(SNS)を通じて連絡を取り合うようになった。今でも毎年のように食事会を開き、当時の思い出を話すことも。「中止にならなければ、この交流はなかったかも」と語る。
この日の試合を会場で見届けた。「相手の方が一枚上手だった。でも、よく頑張った」。必死に戦った後輩をねぎらった。【井手一樹】
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