◇○阪神５―３ＤｅＮＡ●（１６日・甲子園）

　阪神・森下翔太が延長戦に決着をつけた。クライマックスシリーズ（ＣＳ）突破に王手をかけ、「自分もビックリしてますけど、最高の形」と喜んだ。

　３―３で延長に入り、十回、先頭の中野拓夢が安打で出塁し、続くは森下。「拓夢さんが出てくれた。なんとか輝さんに」と後ろの４番・佐藤輝明につなぐ意識で打席に入ったという。

　ＤｅＮＡの佐々木千隼の初球だった。甘く入ったスライダーを芯で捉えると、打球は甲子園の深い左中間席へ飛び込んだ。森下は、右手を突き上げながらベースを回り、本塁付近では、チームメートから水を浴びせられるなど手荒い祝福を受けた。

　午後１０時を過ぎていたため、観客は鳴り物は使わず、声や拍手で選手を後押しした。その思いを森下もきっちり受け取っていた。「球場と一体となりながらの十回の攻撃だった」

　今季は途中まで本塁打と打点の２冠に輝いた佐藤と打点王争いを演じるなど勝負強い打撃を見せつけてきた。「サヨナラホームランは自分の記憶では初めて」と高揚して語った森下。その勝負強さを大舞台で発揮した。【荻野公一】