届かなかった「60センチ」 北口榛花、理想に苦しみ 世界陸上
◇陸上世界選手権(19日、東京・国立競技場)
◇女子やり投げ予選敗退(60メートル38)=北口榛花(JAL)
敗退を覚悟した北口榛花は予選を終えると、涙が止まらなかった。
好調時は高く放物線を描くやりの軌道が真っすぐに定まらず、最後の伸びを欠いた。自動で予選通過が決まる62メートル50のラインになかなか届かない。けがで苦しんだ今季を象徴するようにもどかしい試技が続いた。
「もうちょっと投げられたな、という感触はあったけど……」
1投目は60メートル31。「やりがちょっとカーブしてしまった」と2投目で軌道修正を図ったが、高さがあっても60メートル38とわずかに伸びただけだった。
「投げ急いでしまった」という3投目は、58メートル80まで記録を落とす。自己ベストの67メートル38にはほど遠い記録だった。
最終的に62メートル50を越えた選手は6人。予選12位でギリギリ決勝に進んだ選手は60メートル98だった。14位の北口は60センチの差で及ばなかった。
負傷していた右肘に貼った保護テープは、試合前に外した。しかし、痛みが出ないかという不安にとらわれ続けた。
2023年世界選手権、24年パリ・オリンピックで優勝。国際大会「3連覇」を狙う日本代表で最注目のスターは、今季前半も世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)で通算10勝目を挙げるなど好発進を見せた。
試練は、その直後に訪れた。
7月上旬の日本選手権前に右肘の炎症が判明し、大会の出場を見送った。約2カ月ぶりの実戦となった8月20日のDL第13戦(ローザンヌ)は好調時からほど遠く、50メートル93で最下位だった。
右肘の状態は医師から「(世界選手権に)間に合わないことはない」と言われていたという。
しかし、「出るからにはそれなりの記録を投げないといけない試合が私の場合、続くので」。
高い理想を持つゆえに、けがは癒えてきても100%の状態で腕を振れない違和感とのギャップに苦しんだ。
「自分の頭が絶対に肘のことを考えずに練習できるようになることが大事だと思う」
シーズン後の休養期間は「ちょっと長いかも」としつつ、「強くなって戻ってくる。人生終わりだとは思わないので」と強調した。
最終投てきで逆転優勝を飾った23年世界選手権のように、土壇場での胆力が北口の持ち味でもある。この悔しさからも、はい上がるすべは、よく分かっている。【岩壁峻】
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