中京4連覇の原動力、内野投手 兄たちの思い受け 高校軟式野球

2025/08/29 20:41 

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 第70回全国高校軟式野球選手権大会は29日、東海代表の中京(岐阜)が初優勝を目指したあべの翔学(大阪)に逆転サヨナラ勝ち。史上初の大会4連覇と大会最多14回目の優勝という大記録を打ち立てた。

 その原動力となったのは、1回戦から全4試合に先発したエースの内野歩投手(3年)。内野投手には、4歳離れた双子の兄たちがかなえられなかった「日本一」への思いがあった。「ずっと兄たちの背中を追いかけてきた。兄たちを超えることができてうれしい」とはにかんだ。

 中京が4連覇に挑んだのは今回が2度目だ。最初は2021年の第66回大会。17年から続いた連覇(当時は中京学院大中京)が、新型コロナウイルスの感染拡大で中止された20年を挟んで持ち越された大会だった。

 今回と同じ、明石トーカロ球場(兵庫県明石市)で行われた決勝で、中学2年だった内野投手は兄たちに声援を送っていた。捕手で主将の長兄・光一さん(22)と、投手の次兄・慎太郎さん(22)。高校3年だった2人はバッテリーを組み、チームの中心選手だった。

 試合は0―1で作新学院(北関東・栃木)に惜敗、準優勝に終わった。だが、2人が頂点に立てなかったことで、3兄弟の末っ子は中京への進学を決意する。「(兄たちから)勧められたわけではないんです。自分自身が勝ちたい、日本一になりたいと思ったから」

 中京は全国屈指の強豪校で、練習は厳しい。2年からレギュラーとして活躍し、注目された兄たちと比べられることも予想されたが、「そもそも入学当初は実力がなかった」と内野投手。3連覇した昨年の大会は背番号14でベンチ入りしたものの、「夏前に肩を故障して試合では投げることができなかった」という。

 苦しい時期を乗り越えられたのも、兄たちができなかった「日本一」への思いがあったからだ。平中亮太監督(44)は「こんな巡り合わせはなかなかない。重圧になるといけないので言わないが、彼の中ではリベンジしたい思いが強かったのでは……」と胸中を推し量る。

 ずっと内野投手を見てきた稲垣和真主将(3年)も「間違いなく誰よりも練習してきた。だからピンチの場面では、意地でも抑えてくれるだろうと思っていた。あいつがエースで良かった」とたたえた。

 この日も9回を2失点(自責点1)と好投し、逆転への流れを作った。光一さんが「本当によく投げた。いろんなプレッシャーがあったと思うが『おめでとう』と言いたい」と言えば、慎太郎さんは「最後はみんなでつかんだ勝利だが、よく頑張った。本当に4連覇をしてくれるとは……」と感慨深げ。

 4年前とは逆に、応援席には、頼もしい弟を祝福する兄たちの姿があった。【中田博維】

毎日新聞

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