同和教育講座の資料持参禁止は学問の自由の侵害 久留米市を提訴

2026/08/20 19:01 

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 福岡県久留米市教育委員会が主催した同和教育講座で、記載内容を理由に市が無断で受講者に資料の持参などを禁止したのは憲法23条が定める学問の自由の侵害だとして、講師を務めた静岡大名誉教授の黒川みどりさん(68)が市に330万円の国家賠償を求めて福岡地裁久留米支部に提訴した。黒川さんが20日に記者会見を開いた。提訴は7月31日付。

 黒川さん側は「講演は研究成果を公表する場であり、その方法を制限する市の行為は侵害行為に当たる」と主張している。

 訴状などによると、市教委は2024年夏、市立学校教員ら約1800人を対象に講座を開催し、約1600人が参加予定だった。黒川さんは事前配布用の資料を市に提供したが、市は黒川さんに無断で受講者に資料の印刷と持参を禁止する通知を出した。資料では、被差別部落出身の男性が冤罪(えんざい)を訴え再審請求していた「狭山事件」や、差別的な呼称の説明、被差別部落があった自治体名の記載があった。

 講座当日に受講予定者から経緯を聞き知った黒川さんが市教委職員に問いただすと、「市の方針は狭山事件を取り上げることに合致しない」と言われたという。一方、市はその後の黒川さんとの面談では禁止した理由を「受講者が資料を置き忘れるなどし、記載を見た外部の人が差別事件を起こすことを懸念した」などと説明した。

 黒川さんは「狭山事件は戦後の解放運動史の中で落とすことのできない闘争で、義務教育の教科書にも記載がある呼称や歴史上の差別事件を説明するための地名に言及できなければ研修自体が成立せず、部落差別問題の不可視化につながる」と語気を強めた。

 久留米市教委は「訴訟の場において主張する」とコメントした。【栗栖由喜】

毎日新聞

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