希少がん「骨肉腫」の発症メカニズム解明 新薬へ期待 東大など
発症頻度が低い希少がん「骨肉腫」の発症メカニズムを解明したと、東京大大学院医学系研究科などのチームが15日、発表した。病態を再現したマウスの作製にも成功しており、新たな治療法につながる可能性があるという。成果は、老化研究の過程で得られた「偶然の発見」から生まれた。
◇若者に多い骨肉腫
骨肉腫の発生率は国内で人口100万人当たり1~1・5人とされ、年間200人未満にとどまる。発症部位は大腿(だいたい)骨や脛(けい)骨の膝近くなど、長い骨が成長する端の部分に多い。多くのがんの発症は加齢とともに増えるのに対し、骨肉腫は成長期の若者が大半を占める。
しかし、発症部位や時期が集中する理由は分かっていない。特に手術が困難だったり、再発や転移があったりした場合の治療成績は30年以上改善していない。「5年生存率」は遠隔転移がなければ70~80%だが、再発や転移がある場合は20~30%程度とされる。
チームは、細胞の老化に関連する遺伝子「p21」が、若いマウスの骨端部に存在する新しい骨を作る細胞(骨芽細胞)で多く発現していることを発見。DNA複製が活発に行われており、修復ミスを防ぐために細胞が恒常的なストレス状態に置かれていることも突き止めた。
そこで骨肉腫への関連を調べるため、これまでの研究で関連が示唆されてきた複数の遺伝子とp21との関係を若いマウスの骨端部で調べた。その結果、骨作りの際にはアクセル役とブレーキ役の遺伝子がバランスを保ちながら働いていることが判明した。アクセル役の活性化を強める一方でブレーキ役の機能を止めると、マウスは4週間後に骨肉腫を発症した。形成された腫瘍は肺転移を伴うなどの高い悪性度を示した。
患者の発症部位からもp21が発現しており、今回判明した発生メカニズムはヒトでも同じと考えられるという。
◇老化研究から偶然発見
研究を主導した山田泰広・東大大学院教授(分子病理学)は「細胞レベルで骨肉腫の発生メカニズムを説明できた。マウスで詳細に再現できたことで、創薬を含めた新しい治療法に向けた研究が進む」と話す。
今回の成果は、老化の研究を進める中で偶然得られたという。骨の腫瘍が専門の斉藤誠人・慶応大大学院特任助教(整形外科学)は「加齢に伴い増えるp21が骨端部にあり、ピンとくるものがあった。治療の研究につなげたい」と語った。
成果は15日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。【荒木涼子】
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