外国通貨同士の為替差益は「課税対象」 最高裁「法的手当てを」
外国通貨を別の外国通貨に両替するなどの資産運用をした際、為替レートの変動で生じた利益(為替差益)が課税対象の所得に当たるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は16日、「課税対象になる」との初判断を示した。日本円に払い戻さなくても、別の外貨を取得した時点で収入の権利が確定すると結論付けた。
裁判官5人全員一致の意見。外貨建てした金融資産を日本円に払い戻した場合は差益に課税されるのが一般的だが、外貨同士の取引の場合は明確な基準がなかった。国税当局は課税対象とする運用を続けており、実務を追認する司法判断となった。
判決によると、日本在住の投資家は2014年、スイスの金融機関に開設した自身の口座に105億円を送金して資産運用を一任。金融機関側は15年末まで、外貨から別の外貨に両替したり、同じ外貨の有価証券を取得したりする取引をした。
投資家側が為替差益を含めずに14~15年分の確定申告をしたところ、東京国税局は18年に「約9億円分が課税対象の所得に当たる」として納税額を増額する更正処分を出した。投資家側は処分の取り消しを求めて20年に提訴。「円で払い戻すまでは利益は確定していない」と訴えた。
小法廷は、日本円との関係で為替相場が変動する外貨は、外貨同士の取引が行われた時点で経済的価値が固定化され、円換算額が所得税法の「収入すべき金額」になると指摘。円換算額から経費相当分を控除した金額が所得に当たると判断。投資家側の上告を棄却した。1、2審判決も国税側の更正処分は適法として、投資家側の請求を退けており、国税側の勝訴が確定した。
ただし、裁判官出身の林裁判長ら3人は共同の補足意見で、今回の判決は為替差益の課税に明文規定がない現行法を前提とした「解釈論」だと言及。外貨建ての投資や国際取引が活発になっている現状から「必要な法的手当てを講じていくことが強く望まれる」と付言した。【安元久美子】
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