「カネ持ってこれるか」逮捕の八代市議ら、工事公告前に要求か

2026/05/08 18:23 

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 熊本県八代市の新庁舎建設工事を巡り、八代市議の成松由紀夫容疑者(54)ら3人があっせん収賄容疑で逮捕された事件で、賄賂として現金6000万円を渡したとされる準大手ゼネコン「前田建設工業」(東京)の社員が、任意の事情聴取に「工事公告前に成松容疑者らから『受注したらカネ持ってこれるか』と要求された」と供述していることが関係者への取材で判明した。警視庁と熊本県警の合同捜査本部は、成松容疑者らが汚職事件を主導したとみて捜査している模様だ。

 新庁舎建設工事は、制限付き一般競争入札(総合評価落札方式)で2019年7月に公告。関係者によると、成松容疑者はその約3年前の16年ごろ、大学の先輩で市内の土木工事会社「園川組」代表、園川忠助容疑者(61)=あっせん収賄容疑で逮捕=の仲介で、前田の社員と顔を合わせた。

 その後、成松容疑者らは社員に対し、成功報酬をもらう条件で、工事を受注できるように市側へ働きかけると打診。前田は当時、新庁舎建設工事への受注意欲は低かったが、成松容疑者らの打診を受けて方針転換し、現金の授受を含めて双方で合意したという。

 その後、前田が自社に有利になるように総合評価落札方式の採点基準案を作成。成松容疑者は当時の副市長に、この基準案を採用するよう依頼したとみられる。基準案は一部変更されたが、前田の有利は変わらなかった。その結果、前田と地元建設会社2社でつくる共同企業体(JV)が1社応札し、落札。19年9月に129億8000万円で契約を結んだ。園川組は前田の協力会社組織「前友会」に所属し、新庁舎建設工事でも下請けに入っていた。

 合同捜査本部は、前田作成の基準案を採用するよう副市長に働きかけるなどした見返りに21年6月ごろ、前田社員から現金6000万円を受け取ったとして、7日にあっせん収賄容疑で成松容疑者を逮捕。収賄罪の対象となる公務員ではないが、現金授受を仲介したとして園川容疑者と元市議の松浦輝幸容疑者(84)の2人も「身分なき共犯」として逮捕した。

 捜査関係者によると、園川容疑者が前田社員に「謝礼金」として現金を松浦容疑者宅まで車で運ぶように指示。社員は6000万円をスーツケースに入れ、成松容疑者の車に先導されながら受け渡し場所まで移動したという。

 園川容疑者は逮捕前に毎日新聞の取材に応じ、成松容疑者と前田社員を仲介したとされる点は「ちょっと違う。記憶にない」と否定。「基準作りに関与していないし、しようと思っても一建設会社ができるわけない。前田が入札で有利になるように協力したことはない。下請けに入ったのは協力会社だから。カネはもらっていない」と説明していた。

 捜査本部は8日、成松容疑者ら3人を送検した。【金将来、長屋美乃里、野呂賢治、志村一也】

毎日新聞

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