あえて資源量減の魚種使う 期間限定レストランが伝えたいこと
学生たちと料理人の有志らが、漁業の現状や持続可能性を考えてもらうための期間限定レストランを開く取り組みを続けている。今回はスルメイカやイワシといった資源量が減っている魚種をメニューにあえて使うことで、来場者に海の実情を伝え、行動を呼びかけた。
期間限定レストランは、持続可能な海を目指して活動する料理人チーム「Chefs for the Blue(シェフス・フォー・ザ・ブルー)」(東京都)が、学生らを対象にした研修プログラムの一環として、2023年度から開催している。今年度は、水産業や食に関心のある学生計16人が参加した。
今年度は3月9日から16日の日程で東京と京都の2カ所でオープンした。魚種の選定から始まり、学生らがメニュー立案、調理など全てを担った。
メニューの一つ「マイワシのカッペリーニ(パスタの一種)」は、マイワシの水揚げの約8割が養殖魚の餌になっている点に着目した。安価に大量取引されることで取り過ぎにつながっているという危機感が考案の動機だ。
11日に東京の店舗でホールに立った鈴江駿之介さん(慶応義塾大3年)は「マイワシのおいしさに改めて気づき、食用の需要を増やすことで、『数を取る』から『1匹の質を大切にする』持続可能な漁業に変わっていく可能性がある」と来店者に解説しながら料理を提供した。
さまざまな一品を盛り込んだプレート料理には、資源量が減っているアサリ、マアナゴ、スルメイカをあえて使った。「今の資源状態が続くと食べられなくなってしまう未来」を表現した。
特にスルメイカは近年漁獲量が激減しているが、水産庁は今年度漁獲量が回復してきたとして、来年度の漁獲枠大幅増に転じた。ただ、ピーク時からはほど遠い状況だ。落合凜さん(東京大4年)はそうした経緯を説明しつつ「今年度たくさん取れたということは、簡単に『プラスのこと』だと考えてよいわけではないと思う」と懸念の声を上げた。西山真未さん(東京農業大3年)も「地域の食文化や食品加工に関心があるが、それらを作る人がいても原料がなければ作れない」とし、スルメイカ資源などの減少に危機感を持っているという。
その上で「(漁業は)消費者と生産者の距離が遠いため、関心を持たれづらくなっている。消費者一人一人が『魚食リテラシー』を持って行動に移してほしいというメッセージをレストランを通じて伝えている」と力を込めた。
来店者からは「料理の全てにこだわりがあり、おいしく食べられて水産資源の現状についても勉強になった」と感想が寄せられた。期間中の事前予約チケットは、販売開始から1日もたたずに完売したという。【町野幸】
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