徳島、南海トラフの被害想定公表 災害関連死は最大2000人
徳島県は4日、南海トラフ巨大地震の被害想定を見直し、最悪の場合、災害関連死が2000人に達すると公表した。直接の死者も2万1700人と、2013年の県想定と比べ9600人少ないがこの間、県人口は10万人以上減少しており、地域の高齢化も進むなど災害対応力には懸念する材料もある。担当者は「決して安心できない状況。住宅耐震化はもちろん、事前防災の必要性を理解し、自助や共助の取り組みも進めてほしい」と話している。
2025年3月に発表された国の被害想定や同9月に先行公表した県津波浸水想定を踏まえ、1000年に1度程度起こる地震を前提に策定した。
深い地盤の状況を踏まえた震度分布想定では、13年想定で140平方キロメートルだった震度7の区域が鳴門市や松茂町など5市町で新たに想定され、県全体では4割近く広い194平方キロメートルに膨らんだ。
能登半島地震(24年)でも問題化した液状化危険度は、県のボーリングデータを倍増させて評価したところ、4段階中最も液状化しやすい「極めて高い」区域は、13年想定の397平方キロメートルから203平方キロメートルと半減した。ただ、松茂、北島両町は全域が該当している。
一方、被害が深刻となる冬の夕方に発災した場合、8万1100棟が全壊・焼失するとした。13年想定(11万6400棟)より減ったのは、浸水区域が約2割減ったのに加え、耐震化の進展、古い建物の除却が一定程度進んだためと説明している。
◇速やかな避難で死者数減の試算
建物被害が減ったこともあり、死者は冬の深夜発災のケースで13年想定(最大3万1300人)から約3割少ない最大2万1700人とした。これには、建物倒壊による死者のほか、建物損壊で脱出できない状態で津波や火災の犠牲者となるケースも含まれ、県は住宅耐震化率が現在の86%から100%になれば1万4900人に、そのうえで、地震発生後速やかに避難して沿岸部を襲う津波から逃れられれば2200人にまで減らせると試算している。
建物被害を受け、自宅を離れる避難者は最大38万1200人と県人口(約68万人)の約56%に達するとした。
一方、今回新たに検討した災害関連死は、東日本大震災(11年)の岩手、宮城両県で避難者1万人あたり40人が犠牲となった割合や、外部支援などが困難だった能登半島地震で避難者1万人あたり80人が亡くなった割合を踏まえ、2000~1000人と推計した。
建物やインフラなど想定される経済被害は6兆9300億円で、13年想定(6兆4000億円)より膨らんだ。建物数などは減ったが、物価高などから住宅を再建するコストが当時と比較して上昇している点も考慮した。全体では県の一般会計予算十数年分に達する膨大な額だ。
県担当者は「木造住宅耐震化や家具固定、避難所のQOL(生活の質)向上、在宅避難や車中泊避難への体制構築など、急がねばならないことがたくさんある。ただ、耐震化できていない木造住宅でも、(つぶれやすい)1階でなく2階で寝るなど、今すぐ取れる対策もある。発災をイメージして一人一人が取り組んでほしい」と呼びかけている。【植松晃一】
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