妊婦のRSウイルスワクチン、接種率11.6% 4月から定期接種に
国立成育医療研究センターは、乳児のRSウイルス感染症の予防のため妊婦が接種するワクチンについて、接種率が11・6%にとどまるとの調査結果を公表した。ワクチン自体の認知度が低い上、費用が高額であることも接種が広まっていない理由という。2026年4月から原則無料の定期接種になる予定だ。
RSウイルスは、風邪などの呼吸器感染症の原因となるウイルスの一種。感染すると、発熱やせきなどの症状が出る。通常は発症から1週間ほどで回復するが、生後半年未満の乳児が感染すると重症化しやすく、肺炎や細気管支炎になることがある。
国内では5歳未満の子どものうち、年間20万~30万人が感染し、1歳未満の入院率は約3割にのぼる。効果的な治療薬はないが、妊娠28~36週(推奨時期)の女性がワクチンを接種することで、抗体が母体から胎児へ移行し、発症や重症化のリスクを減らせるという。効果が期待できるため、24年5月から任意接種が可能になった。
しかし、24年7月~25年8月に出産した1279人の女性を対象にオンラインで実施した全国調査では、接種率が1割超と低く、十分に普及していない実態が明らかになった。
接種しなかった女性に理由を尋ねたところ、「予防効果を知らなかった」(28・9%)が最も多く、「ワクチンの存在を知らなかった」(27・3%)、「自費での支払額が高すぎる」(18・7%)が続いた。
特に接種費用は1回あたり3万~4万円程度と高額で、接種した人でも約9割が「やや高い」「とても高い」と回答していた。
接種費用が公費で負担される米国や英国では接種率が約30~50%と報告されている。今回の調査でも、接種しなかった女性の約8割が「無料であれば接種する」と答えていた。
今春から無料化されることで接種率の向上が期待されるが、認知度が低いことも課題だ。世帯年収や学歴が高いほど接種率も高い傾向があったものの、大学院を修了した世帯年収1000万円以上の女性でも接種率は22・7%にとどまった。
同センター臨床疫学・ヘルスサービス研究室の大久保祐輔室長は「国内で接種できるようになってから日も浅く、情報と接する機会が少なかったのでは」と推測。「金額を気にせず打てるようになるのは重要。ワクチンに関する情報に触れてもらい、接種するか判断してほしい」と話している。【中村園子】
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