焼け焦げた車、折れ曲がった中央分離帯 関越道多重事故の現場は

2025/12/27 20:59 

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 焼け焦げたトラック、立ちこめる白い煙、折れ曲がった中央分離帯――。群馬県みなかみ町の関越自動車道で26日夜に起きた多重事故は、停車した車の列で炎が燃え広がり、20台が炎上した。年の瀬を迎えて帰省客が利用するはずの高速道は、悲惨な事故現場に一変した。

 県警高速隊によると、現場は水上インターチェンジ(IC)の南側の片側2車線。緩やかな左カーブで、やや下り坂となっている。

 みなかみ町には26日昼過ぎから大雪警報が出ていた。普段は現場の制限速度は時速80キロだが、時速50キロに規制されていた。雪が降り、路面は凍結していた。

 事故の発端は26日午後7時半ごろ、トラック同士の衝突だった。凍結した路面でスリップしたとみられる中型トラックが横向きに止まり、後続の大型トラックが避けきれずに追突した。

 110番通報を受けた県警高速隊が駆けつけ、トラック2台を路肩に寄せて事故処理に当たっていた。すると後方で、後続車による衝突事故が連鎖的に発生。一部の車両は避けきれずに、中央分離帯やガードレールにぶつかったとみられる。

 最初の衝突現場から約300メートルの範囲で、計67台が関係する事故に。後方の40台目以降では、1台から出火して燃え広がり、20台が炎上した。鎮火したのは27日午前3時ごろで、付近には焼けた車からの煙が立ち込めた。午前9時ごろには、激しく燃えた大型トラックの運転席から1人の遺体が見つかった。

 NEXCO東日本によると、事故の影響で後続車は足止めを余儀なくされ、その車列は一時約700メートルに及んだ。身動きが取れなくなった車のドライバーや同乗者には、飲料水や軽食、簡易トイレを配布。近くの水上料金所そばの建物には待機場所を設けた。約50人が歩いて待機場所へ移動し、利用したという。

 事故の影響で、月夜野IC(群馬)―湯沢IC(新潟)間の上下線が通行止めとなった。NEXCO東日本新潟支社は、関越道の利用を控えるよう呼びかけている。通行止めによって新潟県を通る国道17号の交通量が増えており、「外出する場合は上信越自動車道や磐越自動車道などで迂回(うかい)してほしい」と呼びかけている。

 今回のような凍結路面や雪道では、どのような点に気をつければよいのか。

 日本自動車連盟(JAF)のホームページによると、雪道の走行はスタッドレスタイヤやチェーンの装着が必須だ。

 車の屋根に積もった雪は、運転中にフロントガラスに落ちて視界不良となるリスクがあるため、運転前に取り除く。スリップしないように、急な車線変更や急ブレーキは避ける。車間距離を普段より長めにとることも大切だ。

 もしタイヤが新雪にはまったり、スリップしたりした場合は、車をゆっくり前後に動かし、タイヤ周辺の雪を踏み固めるようにする。豪雪で身動きが取れなくなったら、ハザードランプを点灯して停車させる。マフラーに雪が詰まって車内に排ガスが充満しないように注意が必要だ。【三上健太郎、小林多美子、宮川佐知子】

毎日新聞

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