裁判長「立花氏の言動で中傷過熱」名誉毀損否定 望月記者投稿巡り

2025/12/16 17:16 

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 東京新聞の望月衣塑子記者によるX(ツイッター)の投稿で名誉を毀損(きそん)されたとして、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が望月記者に160万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は16日、請求を棄却した。投稿は斎藤元彦・兵庫県知事らの疑惑を調査していた元兵庫県議の自死を巡るもので、加本牧子裁判長は「立花党首の言動が影響し、元県議に対する中傷が過熱したと考えたのは自然」として、名誉毀損の成立を否定した。

 判決によると、元県議が自宅で死亡しているのが見つかった翌日の2025年1月19日、望月記者はXに「立花孝志氏の言動がまた一つの悲劇を生んだ。背景に立花氏が『犬笛』を吹き続けた結果、SNS上での誹謗(ひぼう)中傷がエスカレートしたとの指摘がある」と投稿した。

 判決は、立花党首が24年11月ごろから、動画サイト「ユーチューブ」などで元県議の社会的評価を著しく低下させるような発言を繰り返し、聴衆をあおるような言動をしたと認定。同時期にSNS(交流サイト)上で元県議への中傷投稿の割合が高まっていたことがうかがわれるとした。

 こうした状況から、元県議は自身や家族に危害が及ぶのではないかと相当な恐怖を感じ、精神的に追い詰められた状態にあったと容易に想像できると判断。望月記者が元県議の自死は真実だと信じる相当の理由がある上に、投稿はインターネット上の中傷を問題視する公益目的で、意見・論評の範囲内だと結論づけた。

 望月記者は判決後の記者会見で「事実に基づいた話だと認められて良かった」と話した。【安元久美子】

毎日新聞

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