裁判長「強い非難」 バトン選手に性的暴行で元コーチに懲役6年
バトントワリングチームの男子選手に性的暴行を加えたとして、準強制性交等などの罪に問われたチームの元コーチ、小城桂馬被告(41)に対し、京都地裁は15日、懲役6年(求刑・懲役7年)の実刑判決を言い渡した。大寄淳裁判長は「被害者の性的な自由の侵害をエスカレートする形で重ねた。強い非難に値する」と理由を述べた。
判決によると、被告は2023年2~3月、京都市の自宅で男子選手に複数回わいせつな行為をしたほか、抗拒不能(心理的・物理的に抵抗することが著しく困難)の状態であることに乗じて性的暴行を加えた。男子選手は事件当時、国際大会につながる全国大会を目前に控えていた。
弁護側は「同意があったと誤信していた」として無罪を主張していた。
判決は、被害に遭ったと訴えた男子選手の証言の信用性について検討。男子選手は被告を指導者として尊敬しており、虚偽証言で被告を陥れる事情は見当たらないとした。男子選手は被害直後、姉に「ずっと我慢してたけどさすがにもう無理」と打ち明けており、証言には男子選手にとっては隠しておきたいような内容も含まれていたことを挙げて、「率直に語っている。男子選手の証言は基本的に信用できる」と認定した。
男子選手は被告に普段から自分の意思を強く伝えることができず、大会前に指導が無くなるのは嫌だったとも証言しており、判決は、これらの経緯を踏まえれば、男子選手が抗拒不能だったことは明白だと判断。「男子選手の同意がある」と被告が誤信していなかったことは明らかだと結論付けた。
男子選手の母親は判決後の記者会見で「以前には戻れないと実感している。親として事件前に気がついてあげられたら良かった」と話した。【水谷怜央那】
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