和歌山・有田川町、議員報酬3万円引き上げ提案へ 成り手不足対策で

2025/11/16 22:00 

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 和歌山県有田川町が17日開会の定例議会に、町議の議員報酬を月額3万円引き上げる条例改正案を提案することが分かった。原案通り可決されれば、報酬月額は県内20町で最高額の26万円となる。背景には議員の成り手不足があるとみられるが、物価高対策が急がれるさなかに報酬を引き上げることの是非を巡り、議会の中でも既に反対の声が出ている。

 ◇背景になり手不足

 条例改正案では、2026年4月から議員報酬の月額を現行の23万円から26万円に引き上げ、議長は30万円から33万円、副議長も25万円から28万円にそれぞれ3万円増額するとしている。

 中山正隆町長は毎日新聞の取材に対し、定数割れとなった22年の町議選を踏まえ「もう少し議員活動ができる金額に上げれば、議員の成り手が出てくるのではと考えた。人口がそれほど変わらない市と比べても報酬額に差がありすぎる」と理由を語った。報酬審議会に諮った上で、26年1月27日告示の町議選の前に提案することにしたという。

 ◇「町民が物価高で困っている時に」

 議案を受け取った複数の議員は「町民が物価高で非常に困っている時に、少しでも町の財政を減らすようなことはしたくない」「報酬を上げるぐらいなら、その分で定数を増やした方が民意が反映されるのではないか」など反対の姿勢を示しており、議員の間で賛否が割れそうだ。

 県がまとめている市町村データブックによると、24年4月1日現在で県内20町の議員報酬月額は24万5000円(かつらぎ町)~17万5000円(古座川町)。毎日新聞が確認したところ、みなべ町と串本町がその後、それぞれ3万円と2万円増額しており、20町の平均額は21万8400円となっている。

 一方、古座川町は今年3月の定例議会で5000円引き上げを提案したが「物価高騰で多くの住民が厳しい生活を強いられているのに、議員報酬を引き上げるのは時期尚早」などとして、賛成少数で否決された。【姜弘修、藤木俊治】

毎日新聞

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