市民税の減税率拡大、来年度見送り 名古屋市長が「5→10%」公約

2025/10/10 11:00 

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 名古屋市は、広沢一郎市長が公約に掲げた5%から10%への市民税の減税率拡大について、見送ることを決めた。必要となる100億円規模の財源が確保できないと判断した。

 市では、2026年開催で愛知県と共催するアジア・アジアパラ競技大会の経費や職員給与の増額が必要なうえ、財政調整基金(財調)の枯渇で財源不足が深刻化している。このため、26年度予算は5%の減税率を維持し、27年度以降の拡充を目指す。

 市は10日、減税率を5%で試算した25~29年度の「財政収支見通し」を市議会財政福祉委員会に示した。26年度は1兆5568億円の歳入に対し、歳出は1兆6490億円で922億円の収支不足となった。

 歳入では市税収入が前年度比210億円増の6884億円となった。一方、歳出は人件費が3028億円、扶助費が4753億円となり、前年度比で161億円~194億円増えた。アジア大会の経費も489億円に上り、財政を圧迫している。

 市は26年度、人件費と扶助費を除く経費を各局で一律20%削減して146億円の捻出を目指す。市の貯金に当たる財調の残高は25年末で58億円。財政規律の基準とする100億円を大きく下回っているため、アジア大会の経費は、22年ぶりに公債償還基金から453億円を借り入れて賄う。【式守克史】

毎日新聞

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