「デジタル教科書」正式導入へ QRコードも検定対象 中教審部会

2025/09/24 10:14 

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 中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の作業部会は24日、デジタル教科書を正式な教科書と位置づけて2030年度から導入するとした「審議まとめ案」を了承した。国が費用を負担する無償配布の対象となり、QRコードのリンク先コンテンツも教科書検定の範囲に含まれるようになる。政府は26年通常国会に学校教育法などの改正案を提出する。

 デジタル教科書については、児童生徒の興味関心や発達特性、障害に応じた活用が可能で、文科省が目指す「主体的・対話的で深い学び」にもつながるとの期待がある。一方で、子どもが集中力を欠いたり、視力や姿勢に影響が出たりすることを懸念する指摘もある。

 現行のデジタル教科書は紙の教科書と同じ内容をデジタル化したものが限定的に利用されている。活用が進んでいるとは言えず、デジタル教科書を使っている学校の教員を対象とした文科省の24年度調査でも、毎回の授業で使用している教員は23%。使用頻度が4回に1回未満は36%だった。

 紙の教科書には現在、QRコードが多数掲載され、リンク先で動画や音声を含むコンテンツを閲覧できる。リンク先は国による検定の対象外で、内容の質が保証されないという課題があった。

 デジタル教科書が正式導入されれば、内容は紙と同一である必要はなくなり、QRコードのリンク先も検定対象となる。コンテンツが多数に上れば検定や採択側の負担が増すため、文科省は検定基準を変更して分量などに制限をかける方向で検討している。発達段階や教科の特性に応じた使い方をまとめたガイドラインも示す。

 学習指導要領の改定に合わせて30年度以降、小学校から順次利用される。ただ、次期指導要領を巡る議論では教科書の内容の精選も求められており、デジタル化によるコンテンツの多様化との両立も課題になりそうだ。

 デジタル教科書導入は①紙媒体②完全デジタル③双方を含むハイブリッド――の3形式が想定されており、教育委員会が一つを選ぶ。文科省は「紙かデジタルかという二項対立ではなく、双方の特徴を生かしてより良い授業につなげることが重要だ」としている。【斎藤文太郎】

毎日新聞

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