北方領土の風景、メタバース再現案も 元島民ら、返還運動継承で議論

2025/08/24 11:41 

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 北海道根室市で開催されている「戦後80年・北方領土フォーラム」(千島歯舞諸島居住者連盟主催)で23日、元島民や後継者がゆかりのある北方四島の島ごとに集まって返還要求運動の継承などについて議論した。

 択捉島グループに参加した2世の角谷豊さん(62)は、自由訪問などで10回以上、択捉島を訪問。戦前の街並みを知る元島民の古老から「おまえの父親が暮らしていたのはここだ」と教えられたが、「あと数年たてば、案内も記憶の継承もできなくなってしまう」と危機感を示した。

 恵庭市から参加した同島2世の本間欽也さん(60)は、「(かつての集落の)地図、1世の記憶がしっかりしているうちに、メタバース(インターネット上の三次元の仮想空間)に北方四島を再現し、返還の日を待ってはどうか」と提案した。本間さんは「メタバースは医者の手術の練習にも使われていて、すごくリアルになっていて、朽ちることもない」と利点を挙げた。

 フォーラムの中で松本侑三理事長(84)は「私たちはこれから五感に訴える運動をしていかなければならない」と強調した。

 フォーラムは、北方領土問題の世論喚起と返還運動の後継者育成を目指して22~24日に開催。23日午後には、元島民2世の久保浩昭さんが「故郷への想い 継承と思想の新化」と題して講演した。【本間浩昭】

毎日新聞

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