「10分で炎がビルを」 崩落で逃げ場失ったか 消防隊員2人死亡

2025/08/18 20:23 

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 18日午前9時50分ごろ、大阪市中央区宗右衛門町(そうえもんちょう)の雑居ビルで「建物の1階から煙が出ている」と近隣店舗の女性から119番があった。大阪府警南署によると、消火活動中だった大阪市消防局の男性隊員2人が病院に搬送されたが、死亡が確認された。ほかに、20~30代の消防隊員4人と20代女性がけがや熱中症で搬送されたが、いずれも命に別条はないという。

 現場では7階建てと5階建ての雑居ビル2棟が燃え、計約100平方メートルを焼いて約9時間後に消し止められた。府警と市消防局が出火原因を調べている。

 消防隊員が死亡する事故を受けて、市消防局は原因を究明する検証委員会を設置する方針を示した。

 市消防局によると、死亡したのはいずれも浪速消防署に勤務する、消防司令の森貴志さん(55)と、消防士の長友光成さん(22)。森さんらは、同僚らと3人で火災のあった7階建てビルの1階からフロアを上がっていったという。

 自力で脱出した30代隊員から連絡を受け、別の消防隊員がビルに入り、6階で倒れていた2人を発見して救出した。2人は、消火活動中にビル内に取り残されたとみられる。

 火災を受け、大阪市の横山英幸市長はこの日、報道陣の取材に応じ、建物内で崩落が起きて2人が逃げ場を失った可能性があると説明した。

 府警南署によると、現場の雑居ビル2棟には飲食店や事務所などが入居している。飲食店にいた客などは火災に気づいて避難したという。

 火災のあったビル2棟のうち火元がどちらかは分かっておらず、府警と市消防局が詳しい出火場所の特定を急いでいる。

 現場は大阪・ミナミの中心部・道頓堀の近くで、普段から多くの観光客や買い物客でにぎわっている。出火当時は約60台の消防車や警察車両が駆けつけ、周囲に煙が立ちこめるなど一時騒然となった。

 近くの店舗で働く30代の女性は「午前10時前に大きな爆発音が聞こえ、外に出たら近くのビルから炎がすごい勢いで上がっていた」と話した。

 たこ焼き店の男性店員(53)は「ビルの1階部分から火花がパチパチと出ているのが見えた。そのうち黒煙がものすごくなり、周囲にいた人たちも騒然となった。10分ほどで炎がビル全体を包んだ」と振り返った。【大坪菜々美、露木陽介、川地隆史】

毎日新聞

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