仮設住宅の建設候補地 4割弱の8181カ所に災害リスク

2025/07/09 06:01 

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 災害時に自治体が建設する仮設住宅の候補地のうち、把握されているだけでも8181カ所が津波や洪水による浸水、土砂災害の被害想定区域内にあった。全国の候補地の4割弱に上る。毎日新聞が47都道府県を対象にしたアンケートで、そんな実態が浮かんだ。

 ◇専門家「周知することが重要」

 国内には、災害リスクのない空き地が限られている。このため、こうした状況について専門家はやむを得ないとしながら「仮設住宅への入居前にリスクを周知することが重要」と訴える。

 アンケートは47都道府県を対象に4~6月に実施した。その結果、仮設住宅の建設候補地は計2万2602カ所あった。

 このうち、山口と長崎、大分の3県の建設候補地は、浸水や土砂災害の被害の想定区域外だった。

 だが、北海道や宮城、大阪など37道府県では、把握されている分だけでも8181カ所は想定区域内だった。青森と東京、富山、奈良の4都県は現在、調査中だった。

 一方、岩手と新潟、島根の3県は「建設候補地の選定は、県が委託した市町村の業務」として、状況を把握していなかった。神奈川県も一部を除いて把握していなかった。

 仮設住宅の建設候補地の災害リスクをめぐっては、2024年9月に石川県の能登半島で起きた豪雨で注目されるようになった。

 能登半島地震の被災者が生活していた輪島市と珠洲(すず)市の仮設住宅も線状降水帯に襲われ、計222戸が床上浸水した。このうち221戸は、それぞれの市が想定する洪水や津波の浸水区域に建てられていた。

 災害や危機管理に詳しい河田恵昭・関西大社会安全研究センター長は「災害リスクがある仮設住宅に住むことになる人に『大雨や津波で浸水する可能性がある』などと事前に告知しておくことが大事だ」と指摘する。【砂押健太】

毎日新聞

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