安倍元首相銃撃から3年 現場駅前に献花台、約1300人訪れる

2025/07/08 19:57 

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 2022年7月に奈良市で参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相(当時67歳)が銃撃され死亡した事件は8日、発生から3年を迎えた。現場となった近鉄大和西大寺駅前には有志団体による献花台が設けられ、約1300人が訪れて花を手向けた。銃撃があった午前11時半ごろには黙とうがささげられた。

 今年は事件時と同様に、3年に1度の参院選の選挙期間の命日となり、事件を思い出した市民らもいたとみられる。奈良県田原本町の不動産会社社長、上原真二さん(48)は「政治が混乱する現状をみて、安倍さんの存在の大きさを実感し、初めて献花台を訪れた」と語った。

 事件は政治家と有権者の距離や、要人警護のあり方にも大きな影響を与えた。奈良市の無職、渡辺孝史さん(63)は「政治家の命が事件で奪われれば、民主主義が揺らぎかねない。今回の参院選は無事に終わってほしい」と話した。

 安倍元首相を殺害したとされる山上徹也被告(44)の裁判員裁判は奈良地裁で10月28日に始まることが決まっている。

 山上被告は母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額の献金をしたことで家庭が崩壊し、教団に恨みを抱くようになったとされる。

 現在は大阪拘置所に勾留されているが、弁護人によると、国内外で起きている出来事に通じており、最近では「宗教問題が根にある」として中東情勢に関心を寄せていた。旧統一教会の解散を命じた3月の東京地裁決定を話題にしたこともあったとされる。

 奈良県五條市の無職、山本一子さん(74)は「どんな気持ちで事件を起こしたのか、正直に語ってほしい」と述べた。【田辺泰裕、木谷郁佳、松田学、喜多瑞輝】

毎日新聞

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