「減額、努力の限界超える」亡き妻の遺志胸に 生活保護受給者の闘い
生活保護費を2013~15年に段階的に引き下げたのは、健康で文化的な生活を保障した生活保護法に違反するとして、受給者が減額の取り消しと賠償を求めた訴訟の上告審判決が27日、最高裁で言い渡される。同種訴訟が各地で起こされており、富山訴訟(名古屋高裁金沢支部で係争中)の原告の一人、富山市の村山和弘さん(84)は、亡き妻(享年68)の遺志を胸に、最高裁判決を見守る。
村山さん夫婦は結婚後に学習塾を経営し、生計を立てていた。しかし、妻が40歳で重度の糖尿病を患った。低血糖で倒れては何度も救急車で運ばれ、車を運転中に意識を失って事故を起こしたこともある。仕事は辞めざるを得なくなり、数年後には村山さんも狭心症で働けなくなった。
苦境に陥った夫婦は生活保護を申請し、受給。民間アパートから県営住宅に移り、生活費を切り詰めた。
「生活保護は生きるための命綱。困難にぶち当たって絶望していたが、救われた」
それでも固定費を除き、生活に使えるのは約10万円。洗濯機が故障しても買い替える余裕はなく、洗濯物を手で絞って干した。月末になると現金を数え、生活保護費が振り込まれるまで綱渡りの日々を過ごしたという。
追い打ちをかけるように、国は2013~15年、生活保護費のうち、食費や光熱費に充てる「生活扶助」の基準額を平均6・5%減額した。受け取る保護費が月約5400円減り、親しい友人の葬儀に参列するのも難しくなった。
妻は15年、減額の取り消しと賠償を富山市と国に求める訴訟の原告になった。「減額は努力の限界を超えている。生活を切り詰めるのも疲れた。弱い者いじめはしないでください」と訴えたが、病状は悪くなる一方で、文字通り命懸けで法廷に立ち続けた。
妻が旅立ったのは17年3月。死因は、くも膜下出血だった。「彼女の思いを途切れさせてはいけない」と村山さんが原告の立場を引き継いだ。
24年1月、富山地裁は減額を取り消す受給者側勝訴の判決を言い渡した。9月には名古屋高裁金沢支部の判決を控えるが、2審の結果は27日の最高裁判決に左右される。
妻の遺骨は、納骨の費用を工面できず、自宅で保管したままだ。村山さんは「人権を守る国の存在意義が問われている。妻にいい報告をしたい」と語った。【島袋太輔】
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