原爆小頭症の家族の日常、写真展に 70年代前半まで撮影 2会場で
原爆小頭症の被爆者や家族らでつくる「きのこ会」は発足して27日で60年となる。結成間もない1966年から約10年にわたって原爆小頭症の家族の日常を撮影し、ほとんど公開されなかった貴重な写真約60点を紹介する写真展が今年、東京と広島で開かれる。
原爆小頭症は母親の妊娠早期に強い放射線を浴びた影響で生まれつき頭や体が小さく、多くが脳に重い障害を負う。今回展示するのは広島市安佐北区のカメラマン、重田雅彦さん(80)が大学で写真を学んでいた学生時代に同級生と2人で撮影を始め、70年代前半まで撮りためた約8000枚の一部。
重田さんは65年、本で原爆小頭症を知り、結成間もないきのこ会の会合を訪ねた。親たちに直談判し、約10家族から許可を得て66年から撮影に通った。「ありのままの姿を記録することで、被爆者の救済や核兵器廃絶につながる力になりたい」との思いからだ。台所で食事の準備をしたりテレビを見たりといった何気ない日常を捉えている。
親たちは、我が子の障害が原爆の影響と認めるよう厚生省(当時)に陳情し、重田さんも同行し撮影した。67年、国は「近距離早期胎内被爆症候群」の病名で原爆症に認定。親たちの粘り強い訴えが実を結んだ。
写真の一部は雑誌などで発表したが、ほとんどは公開する機会がなく眠っていた。約8000枚のネガフィルムはすべて、2024年までに広島市の原爆資料館に寄贈された。
今回、きのこ会事務局長の平尾直政さん(61)の発案で、資料館がデジタル保存するネガを活用した写真展の開催が決まった。会の結成当初、多くの親は差別や偏見を恐れてメディアの取材を拒んでいた。平尾さんは「メディアによる撮影が難しい状態で、2人の学生が生活の中に入り込み、撮影した写真は貴重な記録」と考える。
きのこ会にはこれまで25人の原爆小頭症の被爆者がいたが、現在は10人となった。平尾さんは「当事者は少なくなり、直接話を聞けなくなる。写真が原爆小頭症への関心や理解を深めるきっかけになってほしい」と期待する。重田さんも「親御さんは子どもと同世代の我々だから受け入れてくれたのかもしれない。今後もっと写真が活用されてほしい」と語った。
写真展は8月2~6日、東京都練馬区のギャラリー古藤で、10月4~13日、広島市中区の旧日本銀行広島支店で開かれる。入場無料。【武市智菜実、田中博子】
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