「自分を変えたい」 日系ブラジル人4世、夜間中学で新たにできた夢
全国で夜間中学・夜間学級が増加傾向にある中、2025年4月に滋賀県でも初めて夜間学級が開設された。さまざまな年齢や国籍の生徒たちはどんな思いを胸に学び直しているのか。夜の教室を訪ねた。
◇公立小で通訳などを経験して
「いろいろな人に会って、皆が優しい。毎日が充実している」。滋賀県内初の夜間中学となる湖南市立甲西中(同市針)の夜間学級に入学して約2カ月。日系ブラジル人4世の入江夢さん(19)=湖南市=はいきいきとした表情で勉強に励んでいた。
ある日の英語の授業。習得具合はバラバラで、中国やネパールが国籍の人もいる。生徒たちはいろいろな言語をミックスさせて、教え合っていた。「それが面白い」と笑顔で話す入江さん。だが、入学前は人とのコミュニケーションが苦手だった。
入江さんが学び直そうと思ったのは、そんな自分を変えたいと思ったからだ。
日本で生まれて公立学校に通い、中学2年から東近江市のブラジル人学校に転校してポルトガル語を学んだ。昨年9月から湖南市の市立小学校で母語支援員として働く。外国にルーツがあり、ポルトガル語が母語の児童らに対し、教員が日本語で伝え切れないことを通訳したり、トラブルが起きたときに児童に寄り添ったりしている。
◇「勇気を持たなあかん」
言葉のやり取りに不自由する児童にとっては頼もしい存在。だが、入江さん自身は、自信を持って取り組めていなかった。
幼い頃から人と話すことに恐怖心があった。人前でのスピーチなどもってのほか。自分が感じていることがうまく認識できず、何を伝えれば良いのか分からなかった。だが、勤務先では、児童や保護者、教員と円滑なコミュニケーションを取る必要がある。自分の気持ちを伝えなくてはいけない場面も多い。
「勇気を持たなあかんな」。このままではいけないと思った。「先生方は優しい日本語を使って話してくれるけど、一人一人の考えをもっとしっかり理解したい。日本人も、違う国から来た人も」。夜間中学で学び直す決心をした。
授業では自分の気持ちを話す機会がたくさん設けられている。笑い声があふれる暖かい環境もあり、少しずつ人と話すことに対して苦手意識がなくなってきた。
自分が変わりつつあることを感じると同時に、やりたいことがたくさんできてきた。入江さんは日本の中学校の卒業資格がなかったが、甲西中を卒業すれば高校受験ができる。「高校に進学して、日本の大学に入って日本語の勉強もしたい。でも、ニューヨークの大学に行くのもいいな。ロックが好きでミュージックスターにも興味があるし」と夢を膨らませる。自分の周りとのコミュニケーションにすら悩んでいた若者が、夜間中学で学び、世界中とつながろうとしている。
◇夜間中学・学級、全国で倍増
文部科学省の調査によると、全国の夜間中学・夜間学級は2017年の31校から現在は62校と倍増した。同省では全都道府県と政令指定都市に少なくとも1校の設置を目指しており、今は41都道府県にある。25年4月には滋賀に加えて、愛知や和歌山、岡山など8県で初めて設置され、26年度は福井などの5県で新たに開校する予定。近年は39歳以下の生徒数が増加傾向にあり、24年度の調査では、全生徒数の半数以上を占めた。【菊池真由】
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