SF作家・小松左京のメモ見つかる 万博のあり方考察 調和を重視
1970年大阪万博の理念作成に深く関わったSF作家の小松左京(31~2011年)が、万博のあり方についての考察を記したメモ3枚が見つかった。万博のテーマ「人類の進歩と調和」に関連し、「進歩」のみに偏らず「調和」を重視していたことが分かる内容。専門家は「小松の具体的な思考を読み取れる貴重な資料だ」としている。
小松は64年7月、文化人類学者の梅棹忠夫らと自主研究会「万国博を考える会」を結成。会は万博の理念や意義を自発的に検討し、ここで生まれたアイデアがテーマにも反映された。
今回見つかったメモは、400字詰め原稿用紙3枚。2枚にはテーマを万博にどう生かすかの考察、もう1枚には万博閉幕後の構想がつづられていた。いずれも作成時期は不明だが、「太陽の塔」に関する記述があることから、芸術家の岡本太郎がテーマ展示プロデューサーに就任した67年以降のものとみられるという。
テーマに関するメモには、「『科学技術時代』における人類の課題」の項目として「『進歩』軸点によって、あらゆるものがリードされて行くのか」「『調和的進歩』のために、ある程度規制をすべきなのか」と記載。万博でうたう「進歩」の意味を深く考察する様子がうかがえる。一方、閉幕後についてのメモでは「万国博のあと利用」の項目に「あと地」「あと情報―ノウハウ、システム」「あと人間」などと記し、単に土地や施設だけではなくノウハウや人材も含めた経験の活用を構想している。
メモは「小松左京ライブラリ」(神戸市)代表で次男の実盛さん(61)が5月上旬、70年万博をテーマにした展覧会への出品準備中に見つけた。実盛さんは「万博開幕が近づく中でもなおテーマに葛藤する気持ちを抱えていたことや、一時的なイベントに終わらせたくないという強い思いを感じた」と語る。大阪万博の歴史に詳しい五月女(さおとめ)賢司・大阪国際大准教授は「思考のプロセスが具体的に書き込まれている点に価値がある。科学技術の発展の負の側面をも考慮した『調和』は、現代のSDGs(持続可能な開発目標)に通じる概念で、25年大阪・関西万博が開催されている今、光を当てることに意義がある」と指摘する。
メモは23日から大阪府河南町の大阪芸術大で開かれる「大阪芸術大学所蔵品展 Around EXPO’70」で公開される。【石川将来】
-
大川原化工機、第三者委による真相解明求め要望書 警視庁と地検に
化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の社長らの起訴が取り消された冤罪(えんざい)事件を巡り、警視庁公安部と東京地検の捜査を違法と認定した東京高裁判決を受…社 会 25分前 毎日新聞
-
北海道のスルメイカ漁、1週間遅れで初水揚げ 業者「一息つける」
解禁日に漁獲がなく、史上初めて競りが中止となった道南スルメイカ漁は9日早朝、北海道函館市の函館漁港などに1週間遅れで初水揚げされた。漁船の水槽からは生きたまま…社 会 45分前 毎日新聞
-
鹿児島で線状降水帯の恐れ 大雨災害の危険度が急激に高まる可能性
気象庁は9日、鹿児島県の薩摩、大隅、種子島、屋久島地方で同日昼前から夜のはじめにかけて線状降水帯が発生する恐れがあると発表した。大雨災害の危険度が急激に高まる…社 会 1時間前 毎日新聞
-
東海、近畿、中国で梅雨入り 平年より3日遅く 気象庁発表
気象庁は9日、東海、近畿、中国の各地方が梅雨入りしたとみられると発表した。 平年より東海、近畿、中国とも3日遅かった。昨年と比べると、東海で12日、近畿で8…社 会 1時間前 毎日新聞
-
警視庁が「仮装身分捜査」実施 全国初 詐欺未遂の容疑者を摘発
警視庁は9日、捜査員が身分を偽って「闇バイト」に応募し、犯人グループに接触する新たな捜査手法「仮装身分捜査」を特殊詐欺事件で実施し、5月に詐欺未遂容疑で容疑者…社 会 2時間前 毎日新聞