娘殺した同級生は自殺… 真相聞けなかった母が伝えたい「命の重み」
「生きている意味が分からなくなった時は、今日の講演を思い出してください。皆さんは、そこに居るだけで価値があるんですから」――。山口県周南市で約20年前に起きた殺人事件で娘を亡くした中谷加代子さん(64)=同県防府市=の講演会が5月22日、高松市亀岡町の英明高校であった。遺族として直面した悲しみや苦悩を切実に語る中谷さんの話に、生徒ら約1500人が聴き入った。
講演会は公益社団法人「かがわ被害者支援センター」の協力で香川県警が主催した。中谷さんの長女の歩(あゆみ)さん(当時20歳)は、徳山工業高等専門学校5年生だった2006年8月28日、校内で同級生の少年(当時19歳)に殺害された。逃走した加害少年はその後、同県内の山中で自殺した。
幼少期は怖がりで甘えん坊だったという歩さん。当時、高専卒業後に熊本大に編入することが決まっており、将来は建築士になって自分が設計した家に住むのが夢だったという。
事件の日の朝も夫の純一さんとともに歩さんを駅まで送り、「行ってらっしゃい」と手を振った。それが元気な歩さんの姿を見た最後の機会になった。事件で娘が殺されたという現実を受け入れられず「寝ても起きても涙が流れて止まらなかった」という中谷さん。加害少年が死亡しているため「なぜ、歩を殺したのか。何も聞けないと思ったら、体の力が抜けていった」という。
一方、心の支えになったのが「被害者には何の落ち度も無い」と一緒に悔しがり、必死に捜査してくれた警察や励ましてくれる職場の同僚たちの存在だったという。事件から1年半後、加害少年の両親と会う機会があった。憔悴(しょうすい)し切ったその姿を見て「この人たちも被害者なのでは」と思うようになったという。中谷さんは「家族を悲しませないで。皆さんは被害者にも加害者にもならないで」と生徒たちに訴えた。
講演会では涙をにじませながら中谷さんの話に耳を傾ける生徒たちの姿もあった。生徒会長の3年、高橋陽和(ひより)さん(17)は「家族と日常会話ができるだけで幸せだと気付いた。つらいこともあるけれど、頑張ろうと思う」と話していた。【広田正人】
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