広島の高校で3人刺傷 殺人未遂で逮捕の女子生徒「殺してやろうと」

2025/05/21 20:49 

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 21日午前10時15分ごろ、広島県福山市にある通信制高校の教室で「生徒が刃物で他の生徒にけがをさせた」と119番があった。10代の女子生徒3人が負傷して病院に搬送されたが、いずれも命に別条はないという。広島県警は3人をナイフで突き刺すなどしたとして、女子生徒(17)を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。

 逮捕された女子生徒は県警の調べに「殺してやろうと思った」などと容疑を認めているという。被害者とは同学年で、県警は生徒間で何らかのトラブルがあった可能性もあるとみて捜査を進める。

 逮捕容疑は通信制の「おおぞら高校」の福山キャンパスで、教室にいた女子生徒3人をナイフ(刃渡り約13センチ)で突き刺すなどして殺害しようとしたとしている。2人は軽傷。残る1人は背中などを刺され、2人よりけがの程度は重いが会話できる状態という。

 学校によると、他にもう1人の生徒にも負傷の痕が見つかり、校内で治療を受けた。

 おおぞら高校は生徒が教室に通えるように各地に拠点を置いている。県警捜査1課や学校などによると、当時は授業の間の休憩時間で教室には生徒約20人がいた。逮捕された女子生徒はいきなり被害者らを襲ったとみられる。

 教室が騒がしいことに気づいた教員が駆け付け、刃物を持って立っていた女子生徒を取り押さえた。特に抵抗する様子は見せなかったという。

 学校関係者は「逮捕された女子生徒はほぼ毎日来て、学校生活を楽しみたいという姿勢だった。これまで目立ったトラブルの相談もなかった」と語った。学校は「このような事件に至る経過で、生徒たちの対応・ケアが十分ではなかったと感じている。再発防止策の策定を進める」などとするコメントを出した。

 高校や中学の生徒が同級生らを殺傷する事件は過去に相次いでいる。

 埼玉県入間市の高校で2020年2月、保健室にいた女子生徒が脇腹を包丁で刺され重傷を負った。県警は同級生の女子生徒を殺人未遂容疑で逮捕。被害者は保健室で2人きりの時に襲われたとされる。

 25年3月には滋賀県彦根市内の高校で卒業式後、男子生徒が同級生の女子生徒の首をカッターナイフで切りつけたとして殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。

 愛知県弥富市の中学では21年11月、3年の男子生徒が同学年の14歳(当時)の少年に包丁で刺され死亡した。少年は殺人などの非行内容で送致され、名古屋家裁は第1種少年院送致の保護処分とした。

 事件を起こした理由について家裁決定は、少年が成績や進路への不安を強めていたと指摘。嫌がらせをしてくると感じていた男子生徒が楽しそうな様子でいるのを見て怒りが湧き、殺害して警察に捕まればつらい現状から切り離されると考えたと結論付けた。【井村陸、高田房二郎、西山夏奈、木島諒子】

毎日新聞

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