出産費用無償化 厚労省、2026年度導入目指す 懸念根強く難航も

2025/05/14 18:42 

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 厚生労働省は14日、標準的な出産費用の自己負担を無償化する方針を有識者検討会に示した。2026年度の導入を目指し、具体的な制度設計を進める。

 正常分娩(ぶんべん)は現在、公的医療保険が適用されない。出産費用に医療保険から出産育児一時金を支給する制度があり、23年度に50万円に増額された。

 ただ、厚労省の調査によると、一時金では足りず自己負担が生じたケースは全体の45%に上る。地域格差も指摘されており、23年度の平均額では、最も高い東京都(62・5万円)と低い熊本県(38・9万円)では約24万円の差があった。

 政府は23年に閣議決定した「こども未来戦略」で、26年度をめどに保険適用の導入を含め、出産への支援を検討すると明記。検討会でも保険適用を念頭に、妊産婦の当事者や医療関係者らが議論した。この日示された整理案に「標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めるべきだ」と盛り込まれた。

 出産費用は各医療機関が設定する自費診療が中心だ。保険適用された場合、全国で統一された公定価格となるため、経営悪化や撤退を懸念する声は根強い。制度設計に向けた意見集約は難航しそうで、導入が27年度以降になる可能性もある。【阿部絢美】

毎日新聞

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