メートル原器、キログラム原器を初の同時公開 条約成立150年

2025/05/12 18:51 

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 産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は12日、国の重要文化財で、かつて長さや質量の基準に使われていたメートル原器とキログラム原器を報道陣に公開した。メートル条約成立から20日で150年となるのを記念したもので、同時に公開するのは初めて。

 メートル条約は、各国でバラバラだった長さや質量の単位を統一するために17カ国が加盟して1875年5月に成立し、日本は1885年に加盟した。メートルは地球の北極と赤道の間の子午線の1000万分の1、キログラムは1リットルの水の質量と決められた。加盟国には原器が配られ、日本ではメートル原器が1960年まで、キログラム原器は2019年まで計測の基準になっていた。

 両原器とも白金90%、イリジウム10%の合金製。メートル原器は、端が削れても使えるように長さは1メートルよりも2センチ長く、目盛りと目盛りの間がちょうど1メートル。たわみを防ぐため断面はXの形をしている。

 キログラム原器は直径、高さとも39ミリの円筒形の分銅。さびないよう二重のガラス容器に入れられ、キリの金庫の中で厳重に保管している。各国の中でも、日本の原器はとくに保管状態がよく、ほとんど質量が変化していない。

 現在では、メートルは光が真空中を進む距離、キログラムは物理学で使われるプランク定数で決められるため、2つの原器はもはや基準ではなくなった。しかし、それほど精度を必要としない測定ではいまだに「現役」だという。産総研の臼田孝・計量標準総合センター長は「基準となるものの象徴が140年にわたって維持されてきたインパクトを知ってほしい」と話した。【酒造唯】

毎日新聞

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