第84期名人戦順位戦の組み合わせ決定 今期の注目対決は
第84期名人戦順位戦(毎日新聞社、朝日新聞社主催)の組み合わせが決まった。新人棋士からトップ棋士までが一つでも上の順位、より上のクラスを目指す1年間の戦いが6月から始まる。今期の注目対決を紹介する。
◇例年とは逆順に
組み合わせ抽選は4月24日、順位戦2期目の高橋佑二郎四段(25)を棋士代表の立会人に迎え、東京・千駄ケ谷の将棋会館の椅子対局室「歩月」で行われた。前期までは旧会館5階の対局室で行っていたが、椅子に腰掛けての抽選は新会館らしい変化で新鮮だ。
五つのクラスの所属人数は、C級2組56人(前期比2人増)▽C級1組31人(3人減)▽B級2組26人(増減なし、以下同じ)▽B級1組13人▽A級10人――。前期、一気に6人が降級となったC級1組は所属人数が3人減った。
B1以下はパソコンソフトを使って、A級はトランプを使って対戦相手や対戦順、対局ごとの先後を決める。立会人自身が所属するクラスの抽選では、公平を期すために席を外すことになっている。
例年は一番下のC2から順に抽選していくが、今回は高橋四段がC2所属のため「流れを見てもらいたいのにいきなり退席していただくのも……」(日本将棋連盟職員)ということで、B1からC2へと逆の順番になった。
立会人と担当記者が順番に好きな数字を言い、その数字をソフトに入れるとたちどころに対戦表が完成していく。
◇永世名人対決はお預け
まずはB1。かつては元A級の40~50代のベテラン棋士が伸び盛りの若手の壁として立ち塞がり、「鬼のすみか」とも言われてきた。しかし今期、40歳以上の棋士は佐藤康光九段(55)だけで、次の年長者は広瀬章人九段(38)だ。近年の世代交代の激しさに驚く。
佐藤九段の1回戦の相手は、3期連続で昇級を果たし、2024年度は全棋士中勝率1位だった服部慎一郎七段(25)となった。伊藤匠叡王(22)の初戦は菅井竜也八段(33)戦。勢いのある若手棋士が先輩棋士の壁を打ち破れるだろうか。
続いてB2。ここで一同が注目したのが、前期B1から降級した羽生善治九段(54)=十九世名人資格者=と、谷川浩司十七世名人(63)との“永世名人対決”が実現するかどうかだ。だが、ソフトがその空気を読むはずもない。期待の一局は来期以降に持ち越しとなった。
羽生九段は4月に入って将棋連盟会長を6月で退任すると発表した。多忙な会長職から解放される今期、B1への復帰を期待するファンも多い。その対局相手にはC1から昇級した3人全員の名前がある。特に成長著しい藤本渚六段(19)との3回戦は注目カードになりそうだ。
その後はC1、そして高橋四段が退席してC2の抽選が続いた。高橋四段が席に戻った後も公平性を維持するため、C2の抽選結果は知らされず、他の棋士と同じく、対局通知が送られてくるまでのお楽しみとなった。
◇歴年のトランプ「見覚えがある」
いよいよA級の抽選だ。テーブルの隅に置かれていた古ぼけたトランプが中央に置かれた。ケースには英語が書かれ、20年以上前に米国旅行した棋士がお土産に買ってきたものだと伝えられている。
「見覚えがあります」。トランプを目にした途端、高橋四段が意外なことを口にした。抽選に立ち会うのは初めてだが、奨励会時代、棋士室に同じものが何セットか置かれていたという。「何度か遊んだこともあります」とも。どうやらお土産は何セットかまとめ買いされたものらしい。
同じマークのA~10のカードが抜き出される。数字はそれぞれ順位1~10の棋士に対応し、伏せた10枚から神経衰弱のように2枚を表に返し、対戦カードが決まっていく。
全カードが決まると、各対局の一方に○、他方に×を割り振る抽選が、赤と黒のカード2枚を使って決められた。
最後に、○と×のどちらを先手にするか。カードを引いて、先後が決まる。ここで話題に上ったのは、後手番の数が多い不運に見舞われ続けている渡辺明九段(41)だ。
A級は各人の対局数が9戦で奇数になるため、先手か後手の対局のどちらかが1局多くなる。将棋は先手の勝率が若干高く、24年に行われた全公式戦で先手の勝率は54%。できれば先手番の対局が1局多い方がいいと考える棋士は多い。
しかし、棋士によって運、不運があるのは避けられない。渡辺九段は第69~74期と6年連続で後手番が多く、他の棋士と比べても突出したくじ運の悪さだった。
前期は先手が1局多かった渡辺九段。今期対局に付いた印は、○が五つに×が四つ。「できれば渡辺九段の先手が多くなれば」。その思いもむなしく、○に割り振られたのは後手。一同からため息が漏れた。
初のA級入りを果たした近藤誠也八段(28)の1回戦は千田翔太八段(31)、3期ぶりのA級復帰を果たした糸谷哲郎八段(36)は豊島将之九段(35)と初戦を戦う。手術した脚の療養のため6月末まで休場中の渡辺九段の初戦は佐々木勇気八段(30)戦と決まり、休場明けの7月に組まれる。
前期はプレーオフで惜しくも挑戦権を逃した佐藤天彦九段(37)は、最終局で七番勝負敗者との対局が組まれた。今期も前期同様の快進撃が続けば、順位1、2位が直接対決する最終局が注目の大一番になる。
抽選を終えた高橋四段は「全クラスをパソコンで決めていると思っていたので、A級は特別なんだなと思いました」と率直な感想を語った。順位戦初参戦となった1年前、対戦表が届くのをわくわくしながら待っていたという。「10人の対戦相手が一気に決まることは他の棋戦ではないことで新鮮でした」。前期は5勝5敗の指し分けだったが、「ファンから『昇級してね』と言われるので、今年は本当に頑張りたいと思います」と決意を新たにした。【丸山進】
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