南海トラフ「半割れ」初の被害試算 時間差で地震、被害長期化も

2025/04/01 11:00 

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 政府の有識者会議が3月31日に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定には初めて「半割れ(はんわれ)」が起きた場合の試算が盛り込まれました。そもそも「半割れ」とは何なのでしょう。Q&A形式でまとめました。【大野友嘉子】

 Q 南海トラフ巨大地震が起きたら大変だね。ところで、この地震は半分ずつ起きる場合があるそうだけど、どういうこと?

 A 「半割れ」のことですね。南海トラフ地震の震源になりえるエリアは、静岡県沖から宮崎県沖まで東西に長いです。全てが一気にずれ動いた場合を「全割れ(ぜんわれ)」と呼び、極めて大きな被害が出ます。一方、東と西のどちらか片方でマグニチュード(M)8クラスの地震が起き、その後、時間差で残りの片方も動くケースがあります。これを「半割れ」と呼びます。

 Q 違う場所で2回地震が起きるの?

 A その通りです。ただし、「時間差」と言っても数時間後かもしれませんし、数日後、あるいは数年後かもしれません。

 Q どんな事態が予想されるの?

 A 最初の地震で建物の倒壊や津波など大きな被害が出るのはもちろんですが、被害のなかった地域でも地震発生の確率が高まるため、被災地への救援物資や復旧活動の手が滞(とどこお)ることが想定されます。また、東西の半割れの境界となった地域では再び激しい地震に見舞われることも考えられ、被害の長期化が予想されます。

 Q 過去に半割れは起きているの?

 A 昭和東南海地震(1944年)と昭和南海地震(46年)は2年間隔で発生しました。1854年の安政東海地震と安政南海地震の時差は約30時間でした。一方、最後に起きた「全割れ」は1707年の宝永地震。過去約300年間では半割れの方が多く起きています。

 Q 東西で地震が起きる順番はあるの?

 A 京都大防災研究所の西村卓也教授(測地学)によると、歴史的には紀伊半島辺りを境に、東→西の順で起きてきたそうです。ただし、その理由は不明で、西村教授は「西側で先に地震が発生しても不思議ではない」と話しています。

毎日新聞

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